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スクラム・アンチパターン:ビッグバンスタート

私が今までスクラムで経験した中に、いくつかアンチパターンがある。この記事ではそのアンチパターンの一つである「ビッグバンスタート」を説明していく。

ビッグバンスタートとは

ビッグバンスタートとは、宇宙誕生のビッグバンになぞらえた言葉で、「はじめてのスクラムをはじめて組んだチームではじめての技術を使う」みたいに何もかもはじめての状態からスタートすることを指す。普通に考えればうまくいきそうにもない。でも意外とこのパターンを数回見てきたことがある。

ビッグバンスタートの何が問題かと言うと、まぁ詳細に説明するまでもないが、チームの負荷が高い。スクラムもよく知らないし、技術もよく知らない。そもそも一緒に働いている人がどんな人なのかもまだ解らない。とうぜん時間が経てばどれも解消してくる問題だが、よくセットとなる問題として納期がきっちり決まってたりする(アジャイルにも関わらず)。

1つの解決方法としては、アジャイルコーチを1人導入することだ。コーチ一人の存在は、スクラムでの迷いや技術的なノウハウをもってチームを正しい方向に導いてくれる。良いコーチがいるチームはビッグバンスタートも乗り切れるが、ここはかなりコーチの質に左右されるので、スクリーニングは怠らないことをおすすめする。逆に、そこさえしっかりしていたら、コーチングを受ける側としてはまず素直になること。別に、言う通り全部やれ、というわけではなく、言うことはまず一旦聞き、なぜそういうコーチングをしているかを理解することが大切だと思う。

ビッグバンスタートになってしまった場合

会社という組織にいる以上、どうしてもビッグバンに巻き込まれてスタートせざるを得ない状況というものが存在する。そういう時はもう悲観してもしようがない。私が5年前の自分にアドバイスできるならこうしていただろうな、といういくつかの策を残そう。

まず、自分たちがビッグバンスタートであるという事実を、チームだけでなくステークホルダーとも共通の認識として持つことが大切だ。アジャイルなんてものはトライ&カイゼンの精神なので(トライ&エラーではないよ)、エラーしてもOKという安全性を確保する。そして初めてだけど自分たちがアジャイルのノウハウを溜めていくから見守っててねっていう姿勢を見せることが大切だと思う。

次に、本を読むこと。アジャイル系の名著と呼ばれる本はこの5年で一気に増えた。カイゼンジャーニー、みんなでアジャイル、スクラムマスター THE BOOK、色々ある。個人的なオススメは以下の「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」。先人たちの知恵がつまっているし、スクラムチームだけでなくマネジメント層側の考え方も載っている。

モブプロ・ペアプロなどのXPのテクニックを活かすことも非常に有効だ。新たに組まれたチームはお互いの技術レベル感も正直わからない。ある意味それをお互い把握し期待のすり合わせを行うと同時に、知識のトランスファーを有効に行うためにもモブプログラミングは有効だと思う。

最後に、チームビルディングを優先すること。スクラムを知っていようと、技術を知っていようと、チームのコミュニケーションが取れないことにはパフォーマンスは結局あがらない。まずチームビルディングを優先することで、自己組織化を進め、チームが考えて動けるようになることが重要だ。

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