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渋谷ヒカリエ展示、前半終了して思うこと。

26日から始まった展示も、今日で前半が終了。GWも中日の平日。このタイミングでどうにもこうにも休講できない火曜日に当たって、一旦関西に帰ってまいりました。でも一旦帰って、家のお布団で眠れたのは良かったかなと思ってます。やっぱり朝11時から夜の20時まで、昼ごはんの時間を除いてほぼ在廊しているというのは、40歳を越えて特別鍛えているわけでもない僕には結構辛いタスクで、昨日布団に寝転がった途端、体の各部分が悲鳴を上げているのにようやく気づきました。なかなかハードです。

も一つ良かったのは、改めてこの日常生活の気分から、渋谷の展示を少し客観的な目線で振り返ることができるということです。この数年は全日在廊とかしていたので、全部が終わった時点での総括となって、それってかなり「思い出目線」が加速されて美化されがちなんですよね。でも今はちょうど中日で、まだ展示は続いている。僕は一旦帰ってるけど、むしろ本番は4と5のトークショーのある最終2日。ここらで冷静に状況を見ておきたい気分なわけです。

写真を展示していて何が一番良いかというと、僕のようにオンラインから写真を発表しはじめたようないわゆる「SNS上がり」の零細フリー写真家にとって、画面の向こうで見てくれていたかもしれない人と、プリントされた媒体を経由して、一対一で出会えることなんですね。SNSやウェブって、極端なほどに「拡散性」に価値が全振りされるところがあって、それは物事の性質上仕方のないことではあるんだけど、徐々にウェブだけで写真をやってると、自分の写真が「見られている」という実感が薄くなってくるんです。数字と効果に還元されてしまう。そうなると、もはや写真をやっているという実感もなくなってきます。だって、写真そのものもまた、オンラインのみで展開されるとき、0と1の数字で編まれた仮想的な「データ」でしかないからです。

展示というのは、だから、一種の魔法に近いわけです。デジタルの法則の中で難しい魔術のようなコードによって、魔法陣から生み出された「幻想の視界」でしかないウェブ上の <img src=01.jpeg> たちが、インクによって紙の上にプリントされ、それを見に来る血と肉を伴ったお客さんたちと出会う場として、機能するわけですから。展示作品は手で触れられるし(触っちゃダメですよ)、見に来てくれた人の表情がわかるし、僕は頭を深く下げることができる。すべての行為に動きが伴い、衣擦れの音があり、かわされる声があり、ゆるやかな風が伴う。

そういうことを改めて感じられるわけです。

正直、冒頭にも話したように展示はきついです。純粋に体力的にきつい。特にこの数年はGWが体を休める期間ではなくなったので、一年のうち4月から7月くらいまで、本当に身体的にしんどい状況を生きています。それでもこの、ただの「デジタル情報」が具現化し、実際にいろんな人の「足」が文字通り動きながら、大きなうねりを作るその振動を感じられることは、幸福といって良いだろうと思うんです。その機会が、毎年常に与えて頂ける幸運。

そのような幸福と幸運に対して、僕が差し出すことのできるものは、やはり見に来てくださった人に対して、できるだけしっかりご挨拶することじゃないかなと思っています。何かご質問があればお答えしたり、さらっと見てくれた人には「ありがとうございます」と頭を下げたり。

ということを改めて、この中日の一旦停止の間に考えつつ、明後日からの後半戦に臨もうと思っております。是非皆さん、展示いらしてください。ご挨拶できればと願っています。

【開催日時】
2018/4/26(木)~2018/5/5(土)
午前11時~午後8時
【会場】
渋谷ヒカリエ
9F「ヒカリエホール ホールB」& 8F「8/ CUBE 1,2,3」
【詳細】
http://tokyocameraclub.com/special/exhibition_2018/

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