強いリベラル 2

 タイトルの「強いリベラル」は2007年6月に刊行された故・加藤紘一氏の著書です。どういうきっかけだったのか忘れましたが、2007年の7月にこの本を読み、当時の私は大変感銘を受けました。現在、「リベラル」なんて聞いてしまうと、ちょっと自分の考えと大きく違う印象を受けてしまいますが、その言葉の意味自体は感銘を受けるほどのもので、今も当時自分が書いたレビューを読むと共感できるところがあります。しかしながら、当時33歳だった私はまだまだ勉強不足で、「リベラル」という言葉や、加藤紘一氏の背景については全く知りませんでした。いや、「政界のプリンス」とか「総理に一番近い男」なんて言われていたのですから、「凄い方なんだろうな」なんて思って読んだのだと思います。

 加藤氏は「リベラル」という言葉を「他人を気遣う心」と定義しており、「市場原理主義は、各人が欲望を最大限に追求することを善と考え、そのことの総和で社会は結果的にうまくいくと考えていることに対して、自分だけではなく、他人とともに幸福になっていこうという意志を先ず第一主義におくのが『リベラル』である。」と言っていました。私はこの時初めて「リベラル」という言葉を聞いて、この辺りの言葉に大変感銘を受けたのでした。市場原理主義をハッキリと否定し、当時、過当競争下できびしい金額での仕事を強いられていたこともあって共感したのだと思います。当時のレビューに「よく言われるのが『正社員のコストダウンをはからなければ、グローバル競争に打ち勝っていけない』ということですが、これに対しても著者のコメントがありました。私も常々考えていたことで、この先が楽しみだったのですが、」とありました。

続けて「答えは「社会は、株主と投資家と市場だけでなりたっているのではなく、さまざまな共同体の積み重ねによって文化的な国家が成立している」というものでした。それをバランスよく見ていくことで、強い国ができ、世界に通用する創造性が育まれるというのが「強いリベラル」の考え方だということです。ちょっと答えとしては弱いのですが、それでも読んでいて勇気付けられました。」と私は書いていました。今思えば親中が過ぎる加藤氏の本に感銘を受けていたなんて痛恨の極みですが、「ちょっと答えとしては弱い」と言っているところが救いでした。結局、耳障りの良いことが並んでいたのでしょうね。あと、マスコミがリベラルなので、世の中のことを勉強し始めると一旦はリベラルに寄るのではないかと思います。

 なんでこんなことを思い出したのかと言えば、今回の内閣改造でこども政策担当大臣に就任された加藤鮎子氏が加藤紘一氏の娘だと知ったからでした。憲法9条改正反対の父親に対し、娘は憲法改正反対とのこと。親娘でも必ずしも考え方が違う訳でもないのだとちょっと安心しました。

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