サピエンス全史(下)

 ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳「サピエンス全史(下)」を読みました。上巻の続きです。中巻はありません。

 宗教の話に入って行きます。著者の論調からすれば、宗教も虚構なのでしょう。「宗教は超人間的な秩序の信奉に基づく、人間の規範と価値観の制度と定義できる。」とありました。「超人間的」っていうのが神様、仏様にあたるのでしょう。宗教と言えば宣教というイメージですが、古代の宗教の大半は局地的・排他的で、信者は地元の神々や霊を信奉し、全人類を改宗させる意図は持っていなかったそうです。宣教を行う宗教は紀元前1000年紀で、帝国や貨幣と同じように人類の統一に不可欠の貢献をしたとありました。

 宗教には一神教、二元論、多神教、アニミズムに分けられるそうです。一神教はキリストとかアラーとか、1人の(1人という単位でいいのかわかりませんが)神様、二元論は善と悪という二つの対立する力の存在を認めているとありました。そういわれてもよくわからないのですが、ゾロアスター教、ゲノーシス主義、マニ教がそれだとありました。ゾロアスター教という名称くらいは聞いたことがありますが、やっぱりよくわかりません。多神教は文字字通り、多くの神様が存在するもの。アニミズムは全てに神が宿るというものです。本書では言及しておりませんでしたが、日本でいうところの八百万の神も入るのではないかと思います。

 ここまでの宗教は、神様、あるいはそれ以外の超自然的存在に対する信仰だったものが、宣教をが始まる紀元前1000年紀では、ジャイナ教、仏教、道教、儒教、ストア主義、キニク主義、エピクロス主義は神ではなく自然法則を重んじる宗教だとありました。ここでは仏教を例にとって解説していましたが、ちょっとまとめるのは難しいです。「苦しみは渇愛から生じる」ということが自然法則で、その苦しみからどう逃れるかの教えが仏教という感じで解釈しましたが、我ながら浅いと思います。

 三〇〇年位前になると、宗教が次第に重要性を失ってきて、自由主義、共産主義、資本主義、国民主義、ナチズムといった自然法則の新宗教が多数台頭してきたとありました。「えっ、宗教なの?」と思いましたが、著者からすれば宗教もイデオロギーも同じだということでした。

 何となく宗教の歴史をなぞることが出来ましたが、著者の言いたいことがしっかりと理解できているとは言えない感じです。

 明日に続きます。

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