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これもまた方言だろう故郷とはちがう響きの波音を聴く/小泉キオ

2022年5月24日(火)のうたの日15時部屋の題「方」でバラを取った短歌。

二通りの読みができる。

まずは、方言を文字通りに解釈した読みだ。方言とは、共通語・標準語とは異なった形で地方的に用いられることばのことだ。すると、「故郷とはちがう響きの波音」という語が隠喩となり、作中主体の故郷と異なるアクセントやイントネーションのことを示すようになる。

一方で、波音を文字通りに解釈した読みも可能だ。その場合、「方言」が比喩表現となる。「地域的な自然音」といった意味合いか。すると、作中主体の故郷の海や湖と、目の前の海や湖とで波音に違いがあるということになる。

初句「これもまた」という表現からは、後者の読みの方がふさわしいように思う。作中主体は、異郷の海か湖かの波音を聴いて、故郷の海か湖かの波音を思い出そうとしている。

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