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まっさらな足袋のあしうら輝けり新入部員の跪坐の一列/山口綴り

2022年5月7日(土)のうたの日19時部屋の題「昨日の題からどれでも」(「袋」)でバラを取った短歌。

武道か茶華道か。中等教育学校か高等教育機関の部活動の一場面。春から夏にかけて新たに入部してきた生徒・学生が白足袋を手に入れるのは、夏が来てからである。まだ足に馴染んでいない、糊のきいた新品の白足袋。白足袋は足裏の面が薄汚れていくので、新入部員と先輩とは白足袋の足裏の面の色で見分けられる。

足裏が見えるのが「跪坐」だ。「跪坐」は「ひざまずくこと」を示し、正座とは違う。列になって跪坐をしているというのは、所作の基本を叩き込むための練習の光景だろう。

日中の練習か、夕どきの練習か。夏の外光に映える白足袋ということで輝いて見えたのだろうか。跪坐の姿勢を保つのは、つらい。正座同様に無理は禁物だが、ある程度までなら精神・根性を鍛える効果もある。

慣れない所作を健気に身につけようとしている新入部員自体もキラキラ輝いて見えるのだろう。初句「まっさらな」は、白足袋だけでなく、新入部員の内面をも修飾する言葉となっているのである。

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