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大学運動部への寄付に贈与税がかかる?

任意団体である(法人格をもたない)大学運動部は、OBやOGから多額の寄付を受ける場合があります。

そのような寄付に対して贈与税が課税される場合があるので注意が必要です。

任意団体への寄付についての贈与税の原則

相続税法66条1項は下記のような条文となっています。

(人格のない社団又は財団等に対する課税)
第六十六条 代表者又は管理者の定めのある人格のない社団又は財団に対し財産の贈与又は遺贈があつた場合においては、当該社団又は財団を個人とみなして、これに贈与税又は相続税を課する。

任意団体である大学運動部に対して財産の贈与(寄付)があった場合には、贈与税が課税されるというのが原則的な取り扱いです。

年110万円の基礎控除

 贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません。

たとえば、大学運動部がOBのAさんから100万円、Bさんから50万円の寄付を受けた場合、合計150万円となり、基礎控除の110万円を超えますので、超えた部分の40万円に贈与税が課税されることになります。
しかし、大学運動部のような任意団体には特例があります。

任意団体への寄付の特例

相続税法66条1項には、上記に記載した条文の続きの記載があります。

この場合においては、贈与により取得した財産について、当該贈与をした者の異なるごとに、当該贈与をした者の各一人のみから財産を取得したものとみなして算出した場合の贈与税額の合計額をもつて当該社団又は財団の納付すべき贈与税額とする。

つまり、任意団体である大学運動部については、部が受け取った寄付の合計金額が110万円を超えるかどうかで基礎控除の判定を行うのではなく、寄付をしてくれた人ひとりあたりの金額が110万円を超えるかどうかで、基礎控除を超えるかどうかの判定になります。

上記の例ですと、
 Aさんからの寄付100万円 →110万円以下のため贈与税はかからない
 Bさんからの寄付50万円   →110万円以下のため贈与税はかからない
となり、寄付の合計金額が110万円を超えていても、贈与税はかからないこととなります。

贈与税が課税されないための対策

ただし、大学運動部によっては、事業に成功した方などから年110万円を超える多額の寄付を受けることもあると思います。

贈与税を課税されるリスクを考えるのであれば、
 ・大学本体を経由して寄付をもらう
 ・寄付の受け皿となる法人(一般社団法人など)を作る
といった対策を取ることが有効であると考えられます。


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