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日本の私立大学の運営と経営を考える ⑤(深掘りLIVE #17 文字起こし記事)

割引あり

深堀ライブの17回目ですね。「日本の私立大学の運営と経営を考える⑤」、その5ですね、を話したいと思います。

これまで1、2、3、4で何を話してきたのか、全体像を少しまとめておきたいと思います。

少子化圧力が私学にマネジメント能力を要請した

まず、私立大学が今置かれている状況。これは一番大きいのは、やっぱり少子化圧力ですね。 少子化圧力が加わってきたことで、マネジメントが必要になってきた。

それ以前の私立大学は、悪く言えば何もしなくても人が集まった。 だからマネジメントがあまり必要なかった。 ところがそういう時代が終わって、特に今世紀に入ってから少子化の圧力にさらされるようになってきた。

マネジメント能力の欠如と人材の不足

ところがマネジメント能力を必ずしも持っていなかった私立大学は、理事会を筆頭にマネジメント能力が欠如しているわけですから、ところがマネジメント能力を要請されるようになってきたと。 にもかかわらず、そういった人材がいないと。マネジメント能力を持った人材が育っていない。 決定的に不足している。

この問題が、今の私学の危機と困難の根源にあるということですね。 その背景には実は、文部科学省が定員政策を放棄したという問題があります。 これは2000年の臨時的定員問題というやつですね。

経営よりも運営が大事

その1では、そういったことを出発点に、少し全体像。学長リーダーシップより運営の仕組みの方が重要なんだとかね。それから、政策形成の仕組みもだからあまりないんだとかね、いった話をしたわけですけれども。

その上でその2では、非営利組織の経営、学校法人の経営は企業とは違うんだという話をしました。ところが下手にマネジメントあるいは経営ということが言われるようになってきたことで、企業のマネジメントあるいは企業の経営をそのまま私立大学でもやろうとする勘違いですね。勘違いしてるわけですけれども、それをやろうとする人が出てきて、これがまた私立大学の混迷を深めるという話になっているんだということですね。

学校法人、非営利組織、私立大学においては、経営よりも運営の方が大事なんだと、そんな話をしました。 それはなぜかというと、学校法人、非営利組織のそもそもの存在理由、目的、ミッションというものが企業とは違うからだという話をしたわけです。

私学の存在目的とは

それでその3では、非営利組織の経営というのは、結局その非営利組織の存在目的、大学で言うと建学の精神ですね。そういった非営利組織の目的とは何なのかという話をしました。 特にそういったことをベースにしたときの学長の役割とは何なのかということですね。 さらに資金計画とマーケティング、これも実は企業と違った形で考えなきゃいけないんだと、そういう話もしてきました。さらに政策形成の仕組みですね。これが意外とないという話もしてきました。


私学の運営体制の問題

その4では、特にその運営の仕組みに関して、これをいわゆる議会制民主主義ですね。 立憲君主制の議会制民主主義になぞらえて、そのアナロジーで捉えるとどういう話になるかということを言ったんですけれども、例えば理事長が天皇、その周りの側近が理事会だとすると、内閣に当たるのは学長をトップとする大学執行部。 だとすると教授会が議会、これ教職員、職員含めてもいいんですが議会があって、そして職員組織は官僚組織なんですね。こういうアナロジーで捉えることができると。

そうすると、今私学に何が起きているのかということが結構わかりやすいわけですね。 これはやっぱり、非営利組織、私立大学の運営体制として見たときにこれはやっぱり一つの権力機構であって、そこである意思決定が行われ、その意思決定を組織全体に貫くわけですから、これはやっぱり一つの権力機構なんですね、政治学的に言うとね。

チェック&バランスの働かない権力機構

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