幼き日の写真を前に一妻の詩⑼

この頃
私の内には幼い愛があった
冬の日 水仕事をする人を
その手を温めてあげたくて
自分の手を火鉢であぶり
その人のもとへ走る
そして冷たい手を握る
またあぶる
飛んでいく
手を握る
そのくり返し

少しでも温めてあげたくて必死だった
わたしが私を信じられないときも
その自分の思いは信じられる

私の幼い日の愛はずっと私であるはず

あのときの私
あのときの気持ちと光景
ありありと覚えている

それが 本当の私

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