楊尚眞『ジェンダーイデオロギーの真実』の警告⑴

急死した楊教授からの依頼 

急死した弘前学院大学の楊教授からクビー著『グローバル性革命』の日本語訳を出版できないかと依頼され、出版交渉をしてきたが、専門的な内容が多く一般の読者には難解であるという理由で実現しなかった。
 そこで、同書をわかりやすく解説する本を楊教授に書いてほしいとお願いしたところ、昨年2月19日、「この本の内容を説明する本を書いていますが、『グローバル性革命』の内容から多く引用し、私が以前から書いたものや集めた資料を基に『ジェンダーイデオロギーの真実』という本を書いています。何とかわかりやすい本になるように尽力していますが、その本が完成しましたら、その本の出版交渉をしていただければありがたく思います」というメールが送られてきた。
 ちなみに楊教授の著書には、『同性愛と同性婚の真相一医学・社会科学的な根拠』『科学研究とLGBTQ一性的指向・性同一性・性自認は不変ではない』、訳書に『同性愛は生まれつきか一同性愛の誘発要因に関する科学的研究』『ジェンダーとトランスジェンダーの正しい理解』『アメージング・エクソダス一同性愛をやめた李ヨナ牧師の物語』等がある。
 前述した『ジェンダーイデオロギーの真実』は8月末に(株)22世紀アートから電子書籍として出版されたが、詳細な注記が付された『グローバル性革命』の解説書ですべての親・教師・政治家・行政関係者必読の書である。
 
●「ジョクジャカルタ原則」一「性革命」の核心的文書

 同書で注目されるのは、2006年にインドネシアのジョクジャカルタにおいて、ジェンダーイデオロギーに基づく「性革命」実現への指針「ジョクジャカルタ原則」が「詳細なマニュアルで性革命の目標を理解する上で核心的な文書」としてまとめられ、「性的少数者たちに法的な特権を与えるために、全世界の国家が自国の憲法、社会制度、教育制度、国民の基本的な態度を変える全体主義的な措置を取ることを促している」ことである。
 同原則の冒頭には「国家は必ずこの原則を自国の憲法や他の適切な法案に含ませなければならない」と明記され、その後に詳細な「文化革命の要件」を定め、⑴ジョクジャカルタ原則の目的、⑵混乱を招く方法、⑶LGBT問題の目標を実現するための具体的な実行方法が具体的に明示されている。
 同文書の核心概念は「性同一性(ジェンダー・アイデンティ)」であり、「各個人が深く感じる内面的で個人的な経験を言い、肉体に対する個人的な感覚を含み、出生時に付与される性別や衣装、言葉使い、マナー等を含むその他の性表現と一致することも、一致しないこともあると理解するものである」と定義されている。

●「同一性転覆」による「両性体制の解体」

 この定義について楊教授は、「これによりますと、個人の性同一性は十分な科学的な証拠がある客観的・生物学的・神経学的な違いによって定義されておらず、むしろ『感覚』の問題であり、任意的で主観的な判断がされるべきであるというのです。これはジュディス・バトラーが主張した「同一性転覆」とジェンダーイデオロギーの基礎であり、人間の存在に与えられた両性体制の解体を意味します」とコメントしている。
 同原則の第2原則には「全ての人は性的指向や性同一性を根拠として差別されず、人権を享受する権利がある」と明記しており、楊教授は次のように批判している。

<これは要するに、性に関するすべての道徳的基準は「差別」に分類されるという意味です。これに従いますと、善と悪に対する道徳的区分が性の領域に適用されることが禁止されており、宗教の自由、良心の自由のような人権はその原則に従うものということです。性の目的が一人の男性と一人の女性の愛の結合と子供の出産であると教えることができないということです。
 この原則の性的指向と性同一性の定義によりますと、それは「感覚」の問題で純粋に任意的・主観的・個人的な定義です。しかし、感覚や感情は不安定で流動的なものです。生物学、医学、脳研究、ホルモン研究、心理学、社会学とその他の科学的研究成果は、細胞の一つ一つまでも男性的或いは女性的という性質で区別される「性差」の存在を明確にしています。>

グローバル企業が支援する「活動家ガイド」

 このジョクジャカルタ原則は、現在、スターバックス、コカ・コーラ、アップル等のグローバル企業が支援するLGBTQ活動団体の「全世界的性革命ネットワーク」によって推進され、主権国家の法的基準を変えるための性革命の指針書『ジョクジャカルタ原則活動家ガイド』には、「抑圧的な法的基準に挑戦すること、新しい政府の政策を開発すること、より迅速に対応してくれる政権を探すこと、大衆を教育すること、大衆運動を起こすこと」など具体的な戦略が明示され、9か国の戦略的活動の「模範的な実践」事例が例示され強調されている。これについては明日の「ノート」で紹介したい。
 


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