一人娘を失った母の悲しみ(和歌)②
4月22日
目覚めたる座に我が児の姿あり おはよう おはよう おはようと
神宮の参りを終えし我が児たちと 出会いし時は鮮明なり
子の笑顔 子の声 子の笑み 忘られぬ
親子して宮参りし帰路はただ ゆたりゆたりと歩きしものよ
病みし身を優しく声かく看護師の 病みし身いたわる看護師の声
夕暮れの雲に乗りつつ吾子はゆく 悲しみに大声上げて呼びたし
曇りたる空の中には吾子がいる 吾子吾子と今日も一日過ごすかな
妹の帰える姿に吾子を見る 只涙の他はなし
目覚めたる老いの母に がんばってと 云う吾子の声
吾子の声 神宮散歩道を思い出す
目の前におはようの声 吾子の声 いつの日か逢う日をめざして心はげます
わが中に吾子はいる也 吾子なればなり
頑張れと朝のめざめに吾子の声 吾子の声耳に響きてただ涙
4月23日(退院日)
病院の最後の朝食戴きぬ 病みたる人の声聴きながら
朝は大事と知りつつ沈みゆく 我が心 如何にせんかと
吾子がはげましはげまして 今朝めざむ
子と共に今後は生きよ と亡夫の言う
人の世の苦しみ悲しみ楽しみが 子を失いて身に沁みる
人生は一人の旅と悟りけり
ただ一人神への道を求む也 子の待つ神への道をひたはしる
生き永らえて 神よ神よと唱えたり
名を呼べど 声を返すもかたちなし
たよれるは 我が心身と覚えたり
沢山の人に支えられ 生きられし道に感謝するのみ
この先は 人に迷惑かけぬよう 朝に夕なに祈りをこめて
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