靖国神社参拝の朝に思うこと

靖国神社松平宮司・森田康之助教授との鼎談で学んだ「みたまふり

 今朝は明治神宮参拝後、髙橋史朗塾の塾生と靖国神社を参拝し「みたままつり」に参加する。靖国神社の松平永芳宮司と國學院大學の森田康之助教授と靖国神社創立百周年を記念して出版された本の巻頭鼎談をさせていただいたことが契機となり、靖国神社崇敬奉賛会の英霊顕彰を目的とする公開シンポジウムで20年以上ゲスト講師と対談させていただき、靖国活性塾の塾長も務めさせていただいた。
 前述した鼎談で森田康之助教授が「みたまふり」について語られたことが強く心に残っている。靖国神社を参拝すると英霊の御霊が降りて来て参拝者の御霊を清めて下さるのだという。国のために亡くなられた英霊に参拝者が感謝し慰めるという一方通行の祈りではなく、参拝者の御霊も清められるという双方向の祈りであることに気づかされた。

中国の『菊と刀』 ブーム

    小泉元首相の靖国神社参拝への反発が契機となって、中国でルース・ベネディクト著『菊と刀』が急速にベストセラーになり、数十種類の本が出版されるブームとなった。中国語の訳本の特徴は、原著の謝辞、用語解説や索引は無視され、神風特攻隊や現代女子高生など原著とまったく関係のない二百四十点余の歴史写真、絵画が説明文付きで勝手に挿入されていることである(詳しくは、拙稿「『菊と刀』と『アメリカの鏡・日本』の比較考察」『戦後教育史研究』27号、参照)。
  例えば、ある本は「戦争中の行為を反省し、天皇制と軍国主義を厳しく批判した」大江健三郎の写真を掲載し、ベネディクトの期待を受け止めるかのような文脈で締めくくっている。また、巨大な日本兵が英米の軍艦に襲いかかる軍国主義を強調したポスターを載せている本もある。
 このような『菊と刀』ブームの中で、新渡戸稲造著『武士道』も翻訳され、日本の中国侵略を強調し、近代百年の「抗日戦争」という視点から、「日本はなぜ懺悔しないのか」「靖国神社の“化けの皮”を剥がす」「軍国主義・日本が振り払うことができない亡霊」などについて論じ、ニセ写真と指摘されている残虐な写真を多数掲載している本もある。

日本の伝統的な精神文化を分かりやすく伝える

 この日本の軍国主義を批判する中国の論調と米韓の歴史認識は共通しており、日本が国際的孤立から脱却するためには、その根底にある日本人(の性格や国民性)、日本の文化や歴史に対する不信感、偏見、誤解を払拭する必要がある。 
 かつて明治期には、『武士道』『代表的日本人』『茶の本』に代表される日本独自の歴史・伝統・文化に関する著作が外国人に正しく理解されるために英語で書かれた。
 グローバル人材の育成が教育再生の課題となっているが、求められているのは、日本の伝統的な精神や文化について外国人にわかりやすく説明し、日本の文化や歴史、日本人の国民性についての偏見や誤解を払拭し説得できる知識と能力を身に着けた人材を育成することである。
 グローバル・リーダーに求められる「ノブレス・オブリージュ」とは、単に「高貴なる者の義務」にとどまらず、人間本来の在り方としての倫理と普遍的な価値を含む日本人の生き方としての道徳を自覚し体現し実践することである。

『武士道』を読んだ開成高校生の感想

 新渡戸稲造は「武士道は一言にすれば、武士階級の身分に伴う義務(ノブレス・オブリージュ)である」と述べているが、『武士道』を読んだ開成中学・高校生は次のような感想文を書いている。
 「自国の伝統や脈々と受け継がれてきた精神を知らずに世界の第一線に出て行くことは恥ずかしいことだ。『武士道』にはこれまで培われてきた日本人のすべてが詰まっている。これは日本人が日本人としての誇りを取り戻し、世界に胸を張って出て行くための必読書だと思った」
 「日本人は『武士道』にある克己を忘れることなく、言葉で自分の意思、考えを表現して伝えていくための新たな伝統を打ちたてなければならない時期にきていると思う。それによって国際社会での日本の立場を築いていけると信じている」(大森惠子「高校生が読んでいる『武士道』」角川書店、参照)
 グローバル化する国際社会で日本が自信と誇りを取り戻し、日本の真実を世界を舞台に発信できる人材を育成することが求められている。このような教育実践を全国に広げたい。

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