それぞれの発車のベルとして響く廃校前の最後のチャイム/柿本なごみ

2022年4月1日(金)の15時部屋の題「発」でバラを取った短歌。

この歌に人を明示する言葉はない。「それぞれの」がそれに代わる言葉だ。

廃校になる学校の児童もしくは生徒、教職員、保護者、OBOG、地域住民などが「それぞれ」にあたる。

「最後のチャイム」は、閉校の式典の終了を告げるものだろうか。

廃校になった場合、在校生は転校となる。卒業生はその学校の卒業生としての誇りを胸に一歩踏み出す。

廃校になると、その校舎は利活用される例もある。「それぞれ」には校舎自体も含まれている。

最後のチャイムは、人々の、そして校舎の発車のベルとして響く。

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