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怪獣が舞台の袖で偉そうにウルトラマンに扇がせている/エルドラド

2022年5月27日(金)のうたの日15時部屋の題「偉」で次席となった短歌。

ウルトラマンは、地球の平和を守るため、M78星雲(本来の設定ではM87星雲)からやって来た宇宙人であり、ヒーローだ。地球で悪さをする怪獣たちをこれまで多くやっつけてきた。その勧善懲悪のストーリーは、子どもたちだけでなく、大人をも魅了する。

テレビの中の存在が間近で見られる機会は格別だ。有料のステージや大型ショッピングセンターなどの特設ステージでウルトラマンは、子どもたちも大人たちも沸かす。

この歌での「ウルトラマン」は、必ずしも初期のウルトラマンだけを指すのではないだろう。その時代その時代で、様々なウルトラ戦士たちが登場してきた。いずれにしてもウルトラマンたちが怪獣を降参させる、つまり、正義が勝つ。あくまでウルトラマンたちが主役で、怪獣が相手役だ。

しかし、どうだろうか。殺陣は切られ役の方が難しいと聞いたことがある。とすると、ステージの上のウルトラマンたちの中に入っている人と、怪獣の中に入っている人とでは、上下関係はどうなっているだろうか。怪獣の中に入っている人の方が上ということが考えられる。

それでウルトラマン(の中に入っている人)が怪獣(の中に入っている人)をうちわなどで扇ぐことになる。その舞台袖での光景を第三者が見れば、「怪獣なのに偉そうに」という感想となる。ステージに立つ人々の人間模様もまた観るに足るものなのかもしれない。

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