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名残惜しく秋を摘めば犬蓼の赤ほろほろと解けゆきたり/塩本抄

2022年11月11日(金)のうたの日7時部屋の「犬」で次席となった短歌。

立冬を過ぎたが秋を名残惜しく思っている作中主体。秋に咲く「犬蓼」を摘んだのだろうが、スケールの大きな提喩で「秋」を摘んだと表現したところにうまさが出ている。「摘めば」は、「摘むと」ということ。

「犬蓼の赤」という提喩は、赤い花穂を示しているのだろう。この粒状の花をしごき取っているところを「ほろほろと解けゆきたり」とオノマトペ(擬態語)を使い表現したか。

定型順守の立場から見れば、第二句の字足らずは気になるだろうが、第一句での字余りがあったので調整したとも取れる。提喩の発想と語の選定により一首は光っている。

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