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奥様もどうぞと医者に通されてあなたの妻で過ごす10分/RUKA

2022年3月29日(火)の17時部屋の題「奥」でバラを取った短歌。

作中主体は女性で、男友達、あるいは彼氏の付き添いとして病院へ来た。診察室の前で座って待っていたのだろうか。すると、看護師か医師から声をかけられ、診察室の中に通された。そのとき、関係性は聞かれず、突如「奥様もどうぞ」と言われた。それを否定するわけでもなく、通されるまま、促されるまま診察室へ入る。

男性は病気になったのか、けがをしたのか。付き添いの者に説明や相談が必要なくらい、やや切迫した状況か。それとも、軽度の事態だが、単なる情報の共有のために呼ばれただけか。10分の説明で済むのだから、そんなに深刻ではないだろう。

作中主体は説明を聴けているだろうか。つかの間「あなたの妻」になれたことに動揺したり、浮かれたりして、夢心地ではないか。心情を表す語が一切ないが、それでも作中主体の喜びや戸惑いが伝わってくる。

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