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雷鳴が轟く街でラムちゃんの「だっちゃ」に「んだね」と返しゆく春/果野ねむり

2022年3月30日(水)の21時部屋の題「故郷の方言で詠む」の短歌。

「雷鳴が轟く街」は宮城県のある街だろうか。岩手県の旧伊達藩域(南の方)の街かもしれない。

高橋留美子作の漫画『うる星やつら』のヒロインであるラムちゃんの口ぐせ(なまり)が「だっちゃ」。虎柄を身に着け、電撃を発するキャラクターなので、「雷鳴が轟く街」としたのだろう。

高橋留美子は、仙台市育ちの井上ひさしの小説『青葉繁れる』で「だっちゃ」を知り、使ったという。『青葉繁れる』の舞台は仙台である。ちなみに、井上ひさしの生地は山形県の川西町である。

「だっちゃ」は、「ラムちゃんの」と説明するとわかってもらいやすい。宮城の婦人は「ださ」と言い換えて使いがちだ。「だっちゃ」と言い切るのは、こっ恥ずかしさがある。「そうだよね」という意味で使ったり、「そうでしょ!」という意味で使ったりする。

それに対して、「んだね」(そうだね)と返す。返したのが作中主体だろう。「故郷の方言で詠む」という題だが、作中主体は転勤などでこの街に来たとも取れる。まさに作中主体にとって、「だっちゃ」の枕詞は「ラムちゃんの」なのだ。

その主体もこの街に慣れて来た。少なくともこの街へ来て一年は経った。そんな春の情景が見えてきた。生粋の「雷鳴が轟く街」の人の「だっちゃ」に「んだね」と訛って返してみたという初々しさを感じ取った。

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