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ひさびさに話した友の声色の端から地元の海が広がる/和三盆

2022年5月8日(日)のうたの日19時部屋の題「久」で次席となった短歌。

コロナ禍となり、友と直接会う機会というのは少なくなった。代わりに、オンラインで話す機会ができた。直接の会話にしろ、オンラインでの会話にしろ、久しぶりに友の声を聞いた作中主体。

ここでの「声色」は、「こわいろ」と読み、「声のひびき。声の様子。」という意味だろう。そこから「地元の海が広がる」のだから、「声色」という言葉で地元の訛りやアクセント、イントネーションのことを示しているのだろう。

作中主体の地元は沿岸地域で、その風景と地元の方言とは切っても切れないものとなっている。

作中主体は、地元に帰ったわけではないのである。しかし、友の話す声、言葉から、地元の風景が脳内で自然にイメージされた。海のさざ波の音や磯の香りといった視覚以外の情報も伴って甦ってきたかもしれない。地元自体に長いこと帰っていない作中主体が友の声を通して地元を懐かしんでいる様子が見えてくる。

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