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まだ「友」の言葉を知らず二歳児のお城に砂を運ぶ子のいて/ミドリムシのミドリム

2022年3月28日(月)の23時部屋の題「友」の短歌。

就園前の二歳児だろうか。保育所やこども園へ通っている二歳児であれは「おともだち」という言葉は知っているはずだ。

作中主体は子の親だろうか。それともおじやおばだろうか。はたまた他人だろうか。

作中主体は二歳児を観察している。二歳児は砂でお城を作った。お城といってもそれは二歳児が自分の世界に入り込んで(閉じこもって)作り上げた小さな作品にすぎないだろう。

その世界に、砂という追加材料を運んでくる子が入ってきた。二歳児はどう振る舞えばよいかわからない。侵入者なのか、味方なのかすら判断できないからだ。

倒置法が用いられており、結句「運ぶ子のいて」は、構造上初句に連なる。しかし、言いさしのようにも感じられる。これにより二歳児の次の感情を想像させる作用をもたらしている。

「仲良くなりたい」、「邪魔をしないでほしい」といういずれの感情もあって、それが同居した複雑な幼児の心理を形作るのだろう。

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