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戦争も飢饉もすべてカラフルに図解されをり歴史便覧/ともえ夕夏

2022年3月22日(火)の17時部屋の題「フル」で次席となった短歌。

戦争を経験した者、飢饉を経験した者、それぞれが見るそのときの状況というのは、モノクロに近いだろう。

戦争には火や光があるが、その後の街に色はなくなっていよう。飢饉による空腹で目の前の光景の輪郭ははっきりせず、おぼろげに見えてしまうだろう。

戦争も飢饉も歴史では幾度となく繰り返されてきた。戦争に至っては、それ自体が歴史を作ってきたと言っても過言ではない。日本史にしろ世界史にしろ同じことだ。

学校教育で使用する歴史便覧は、教科書とは別に参照するものだ。そこでは写真や図解がものを言う。わかりやすさ、興味を引くこと、飽きさせないことが重視されている。そのとき、戦争も飢饉もカラフルに描かれてしまう。

歴史学習はゲームの中のストーリーを追うことなのだろうか? 身近なものについて立ち止まって考えてみたときに出てくる疑問や問題提起。単なる説明のようでいて、ちくりとした風刺になっている。

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