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タラの芽をさっと揚げればほろほろと冬の苦さが淡くほどける/小川萌

2022年4月6日(水)のうたの日9時部屋の題「芽」でバラを取った短歌。

たらの芽は春の季語で、たらの木の若芽のこと。少し苦味のある若芽は春先の山菜の代表。たらの芽を天ぷらにしているのだろう。

「ほろほろと」は文法的には「ほどける」に掛かるが、「揚げれば」と「冬の苦さ」にも掛かっているようにも取れる。

また、「淡く」も「ほどける」だけでなく「冬の苦さ」にも掛かっているようだ。このような曖昧さがこの歌では天ぷらの油の波紋のように広がって、いい味を出している。

春の味覚だが、冬に木の中で蓄えた苦味を「冬の苦さ」と詠んだところが違和感を感じさせつつ納得させる表現となっている。

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