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つばさの折れた党

ちょっと前だが公職選挙法違反で「つばさの党」の幹部?が逮捕された。
東京15区の衆議院補欠選挙での選挙妨害が理由である。

逮捕された映像がニュースに流れた。黒川、根本、杉田、3容疑者は笑顔でピースしながらおどけている。その映像を見た時、気味が悪いというか、モヤモヤした気持ち悪い気分になった。

始めはこう思った。
日本は「日本人」に完全にナメられているのではないか。日本国憲法第15条で明記されている基本的人権、主権者である国民が選挙を通じて代表者を選び政治が行われるという重要な権利を行使する場面において、あのようなふざけた選挙妨害をする行為を、同じように選挙を4回経験した私にとって、バカにされたような気分になったのである。

そこでYouTube等で街頭演説の配信があったので見てみた。
「給料が少なくて生きていくのに精一杯、お金がないから大切な人も幸せにできない、それは自分のせいではなくて国のせいだ。そんな日本を変えていきたい。」

そんな演説をしていた。
恐らくそれらの演説を聞いた若者は胸に刺さるだろう。なぜなら誰しもが有名大学を卒業し、一流企業で働き、高収入を得ている訳ではなく、努力しても報われない若者の方が多いかもしれないのだから。

大学出て一流企業に入れなければブラック企業に入るかもしれない。奨学金だって返さなきゃならない。仮に一流企業に入社しても待っていたのは過酷な残業(今は少なくなったが)今までがんばってきて社会に出て待っていたのはこれだったのか。と閉塞感を感じている若者もいるだろう。

世の中どんなにがんばって来たとしても、一定数の人は報われない。その一定数の人の選択肢は極端な話、もしかしたら賃金は安いが自由の利く非正規雇用か、悪に染まった闇バイトか、才能があればユーチューバーなどを選ぶ時代なのかもしれない。

そんな現代社会の中にいる報わてないと思っている人、少なくとも政治に無関心な若者層を掘り起こしているのは間違いないだろう。

どんな荒手な運動をしようが、カーチェイス並みに街宣車を走らせようが、彼らの過激でありながらも、ある意味、真っ直ぐな言葉に共感する、またはこの先も同じような存在も生まれるのではないかと私は危惧している。

例えば何らかの目的で知名度を上げるために選挙に立候補するヤツとか、ユーチューバーがアクセス数を増やすために過激な行動を取るなど、つばさの党以外にも政見放送など見ると訳の分からんヤツが増えてきているのは確かだ。

つまり、政治や選挙といったものは社会もマスコミも注目するし、取上げざる得ないことであることから知名度は勝手に伸びる仕組みになっている。その場面でいかに過激で目立つことができるかで、知名度もYouTubeもアクセス数も効率的に稼げるのだ。一晩で有名人になれる。

つばさの党の目的は何なのかは分からないが、彼らが行った選挙妨害行為についての逮捕は、日本が示した「世の中そんなに甘くない」っていう結論だろう。

目的がYouTubeのアクセス数であれば成功である。政治を変えるための政権批判であれば間違いなく失敗であろう。

いずれにせよ、現在の政権与党が揺らいでいる結果でもあり、対峙する野党も何か頼りない。だったらオレ達がやってやろうぜ的な感じ的なノリでニョロっと出てきたのが彼らだったとしたら、国を支えている政府並びに与野党の国会議員の責任なのではないかとも思っている。

つばさの党は誰が生み出したのか。そしてその背景は何なのか。単なる事件として捉えるのではなく、自分の仕事や身の回りの事として考えていきたいと思うのであった。