繰り返す日々(自選短歌)
通勤電車日の当たる側に立っている
ミーアキャットのように立っている
・
背もたれをばたんばたんと裏返し
折り返す列車
繰り返す日々
・
エレベーター五階まで行く十数秒
あんがい話がはずむもんだね
・
愛用のタバコ・シャンプー
右肘のアザも知ってる
名は知らぬ人
・
冷や飯のひしゃげた三角おにぎりがうまい
今日もよく働きました
・
西日差す座席でうつらと舟を漕ぐ
その両脇に支柱立てたい
・
文字列を浴びるように読む午前二時
ブルーライトを弱めに浴びて
・
朝日差す部屋の中から
雲ひとつない青空を磨く週末
・
忙しさに余白の増える日記帳
記憶たどって満たす休日
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書くことがない一日と
書けることがない一日とはちょっと違うね
・
新田と呼ばれる土地を見下ろして
かつての海のさざめきを聴く
・
焼き上げたパウンドケーキのひび割れが
きれいだったから明日は大吉
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