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スキャナカメラ2020の作成(前編)

どうもこんにちは、Takahashi Toshioです。

今回は新型スキャナカメラが完成したので、その紹介記事の前編となります。今回、作成に至って遠回りしたこともありまして、今までのように完成形だけを紹介するわけではなく、失敗した経緯も含めて議事録として残したいという考えもあり、前編では失敗作、後編で新型機について作成した内容を記載する予定です。

さてまずスキャナカメラとは何だ?という方は、まず下記のnoteを御覧下さい。

前置き

私は【時間の流れを写す】という事を主題に置いているため、スキャナカメラはなくてはならない物であり、メインカメラといえる存在です。

しかしスキャナカメラは歴史から葬り去られた技術。その理由となるデメリットが大量に存在します。そのデメリットを改善するため、私は毎年のようにバージョンアップして使いやすくしています。いつもCP+が実施されるこの2月下旬を目標に今まで作ってきたので、今年もその流れに従ってアップグレードを目標としてきました(残念ながら、CP+は開催されませんでしたが…)。

さて去年作ったスキャナカメラ【Integration】。こちらは、スキャナカメラに必要となるパソコンを内蔵することで、可搬性を向上させることを目的とした改造でした。
初の3Dプリントカメラであり、コンパクトに抑えることが出来たので結構気に入っている一品です。


現状のスキャナカメラの問題と対策案

しかし昨年作ったスキャナカメラ。実は去年の稼働率は非常に低かった。理由は以下。

1)重い、デカイ
2)人が少ないところでは変化が乏しい
3)内蔵パソコンが貧弱

昨年は彼女(妻)と付き合いだして、休日に撮影に行く=デートが主体となり、スキャナカメラで撮ることは減少。代わりにデート写真が増えました。さり気なくノロケておりますが、まぁ要するに余計な荷物を持ち出したくありませんでした。

そんな折、大きくて重く、三脚が必要となるスキャナカメラは荷物になります。また、私のように動きに対して変化をつける目的でスキャナカメラを使うのであれば、動きがある被写体は必須。人が少ない場所では真価が発揮できません。特に直近、都心部を中心とした人工密集地に赴く事も少なくなり、【時間の流れ】を見せることが出来る写真が撮れているとは思えなくなっていました。

そこで次回作成時は、【持ち出す事が簡単or自身の主題を出しやすい】カメラにすることが急務となりました。


スキャナカメラ2020 1号機-ハンディスキャナ(名刺)型

そこで第一段で考えた問題対策は、軽さへのアプローチでした。

現状使用しているスキャナカメラは中判カメラのフォーマットを持つため、35mm版と同等の画角まで減少させれば、十分小さくできるのではないか、と。

そこで目をつけたのがハンディスキャナ。特にこの名刺スキャナでした。

CIS型は、通常A4サイズが主流なので、カメラ形状にするにはA4サイズがカバーできるフォーマット(8×10)サイズが必要となりますが、名刺サイズであれば非常に小さくできます。
また前回のスキャナカメラで使っていたパソコンと接続でき、バスパワーで動かすことが出来るため、駆動部を除けばバッテリーフリーで運用可能。小型化に貢献できます。

↑でフォトカプラ制御とか書いていますが、これがロータリーエンコーダの仕組みだと後になって知りました(笑)


しかしこのスキャナカメラ。電源基板を壊してしまいあっけなく終了しました。

さらにこのスキャナ、Windows10に対応済と思っていましたが、実はスキャンこそ出来ますが保存が一切されていなかったという状態だと発覚。また撮れた写真も、縦辺が900px程度とこれならスマホアプリでも良いんじゃないか!?となってしまいました。これでは意味ないやんけ!ということで、ハンディスキャナ作戦は終了したのでした。


スキャナカメラ2020 2号機-ハンディスキャナ(A4)型

名刺スキャナを分解している時に思いついた事があります。

ハンディスキャナをスキャナカメラに使用するということは、別途モーターでスキャナを動かしてやる必要があります。
これは別途設置するデメリットもありますが、普通のスキャナカメラと異なりスキャナ部分の移動速度を変更できる可能性・メリットも発生します。

これを使えば、スキャナカメラに新しい可能性…【時間の流れを写す】ことが可能になるのではないでしょうか。

それが可能になるのであれば、ハンディスキャナは非常に可能性にあふれる一品になります。名刺スキャナはパソコンの都合で駄目になりましたが、通常のA4スキャナはパソコンレスで使用でき、バッテリーも一般的な単3電池で動くため構造がシンプルです。

今回購入したのが↑のスキャナ。最大900dpiまでスキャンできるので、画素数的にも申し分ありません。

あとはこれを分解、スキャンするためのベースの作成をします。マニュアル動作で左右動かし、またオートでも動かせるようなプログラムをArduinoで組み、ステッピングモーターを動作させてみました。

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完成形。コラージュがわかりにくいですが、バイテンサイズのカメラとなっております。リニアガイドに沿ったスキャナセンサを、ステッピングモーターのベルトドライブで動かします。

しかしこのカメラ。作成したはいいものの、致命的ともいえるデメリットが存在しました。それがダイナミックレンジの悪さです。

IMAG0051のコピー

こちらが撮影した写真。空が完全に飛んでいます。順光での撮影でコレです。

恐らく通常のスキャナと違い、スキャン前にキャリブレーションを行わないのが一番の要因だと思います。昔、A4サイズのスキャナを分解してスキャナカメラにしたことがありましたが、それに比べてもダイナミックレンジが非常に悪い。

そしてやはり重い。そしてデカイ!8×10カメラを持って出すのですから当たり前とも言えます。結局持ち出さないのであれば本末転倒。結局、作成にお金沢山かけてしまいましたが、あえなくボツとなってしまいました。


スキャナカメラ2020 3号機-カメラスライダ型

で、ここまでやってきて考えました。そもそも今まで使っていたスキャナカメラのセンサを自在に動かせば良いのではないか、と。

しかし通常のスキャナカメラはプログラムで制御されています。ドライバプログラムを弄ることは、私にとって難易度が高い。しかしハードであれば話は別です。そして、別にセンサを動かす必要はありません。センサの動きを、相対的に停止できれば良いのです。

そこで考えたのが、カメラスライダーという選択肢でした。A4ハンディスキャナがNGと分かってから半日で完成させました。気合が違う。もしこれがうまく行けば、市販品のカメラスライダーを使えばコンパクトに出来るという希望もあります。

さて勘の良い人ならお気づきでしょうが、結果的にこれは全く意味がありませんでした。なぜならカメラスライダーでセンサを相対的に動かなくすることは可能ですが、それと同時にレンズから集光されたイメージサークルも同様に動きます。したがって、結局撮れる写真は殆ど変わりません。これ、普通のカメラではありえない症状なので、結構びっくりしました。

一応完成した動画も載せておきます。


前編のおわりに

長々と書きましたが、前編ではこの2ヶ月でやってきた内容を記載した次第です。

後編では、その後最終的に出来上がった物の姿と、作例もお見せ出来ればと思っております。

ではでは、後編でお会いしましょう。








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