見出し画像

アイドル高橋シンコの365 #3


 どうも高橋進行です。進行と書いてシンコ、本名。

 今日も楽屋で弁当なうですよ。ドラマの撮影に欠かせない物、それは台本と弁当。1クールのドラマの撮影はだいたい1クール、3か月。んで週に4日撮影があるとすると4日×4週で1か月に16日、×3か月で1つのドラマを作るのに48日撮影があるとして、48個の弁当を食べている計算になる。

 もちろん、スタジオ撮影のときは食堂で食べるときもあるし、出前もある。コンビニで買って来てもらう時もある。ロケの時はだいたい弁当ね、通称ロケ弁。ドラマじゃなくてバラエティーとか歌番組でも、たいてい楽屋には弁当があるから、輝ける俺の肉体は、ほとんど弁当でできている。

 よく雑誌のインタビューで、好きな色はとか女性のタイプとか昨日何食べた?とかどーでもいいことを質問される。んで「弁当」て答えたらそれがそのまま記事になったんだけど、それを見たファンの女の子が自分のブログに「弁当って誰が作っているのかな。おかーさんかな」って書いてた。

 んなわけないしー、と思ったけど、なるほど、そういう捉え方もあるのかと感心したね。これからは発言に気を付けよう。今日も元気にエゴサだぜ。

 まあそんなわけで、弁当ばっかり食べてる俺だけど、いっかいバラエティー番組のスタッフのオトコノコが弁当の発注を間違えたらしくて、チーフにぼろくそ怒られているのを見たことがある。

 俺にしてみたら、楽屋に入ってなーんもすることなくて「あー弁当あったから食べよー」とか「う、昼も唐揚げ弁当、夜も唐揚げ&ハンバーグはヘビーだぜ。残すぜ」とかテキトーにしか向き合っていない弁当だけどさ、あのオトコノコはきっとあの後、弁当発注のたびに「大丈夫だよな、今回は間違ってないよな」とか毎回ドキドキしてるんだろうな。

 音楽番組で、最近は48とかいろいろ人数多いグループがいて(おお、ドラマ1クールで俺が食べる弁当と同じ数だぜ)、でも48人全員がテレビに出るわけじゃないから、弁当頼むスタッフは大変なんだろーなと思う。歌うのは3分かそこらなのに、そのために用意される弁当は何個で、その弁当に関わっている人数はどのくらいになるんだろう。

 注文された弁当を作る人がいて、その弁当の材料の肉や野菜や米を作る人がいて、プラスチックの容器を作る人がいて、割り箸を作る人がいて。配達する人がいて。そんで弁当が俺の楽屋に届いているんだよな。そんでそんで今、俺の前にある弁当。蓋は開けたけど手を付けなくてそのまま。

 いや実はさ、昨日「餅は餅屋」話をしたせいか無性に餅が食いたくなって、ここ来る前にマネージャーと現場に差し入れする和菓子を買うついでに、その店でお汁粉食べちゃったんだよね。あずきが甘くて熱くってさ、大きな餅が2個も入ってたんだよね。うん。

 おっと、そろそろ衣裳に着替えのお時間。さてどうする弁当。

 じゃー今日はこのへんで。

※このnoteはもちろんフィクションです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?