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タカハ劇団が公演中止にしないワケ

私が主宰するタカハ劇団は、2021年1月13日~17日まで『美談殺人』というタイトルの新作公演を行う予定です。

この企画の立ち上げの時から決めていたことがあります。
それは、「政府からの特別な要請がない限り公演は決行する」ということです。(もちろん、公演関係者にCOVID-19陽性者が確認されないことを前提として、です)
巷でどれだけ感染者が増えようが、政府からの要請がない限り公演は行う、そう決めていました。

現在、2021年1月3日。
昨日、2021年1月2日。一都三県の知事が政府に対して緊急事態宣言の発出を要請しました。
おそらくこの数日でなにがしかの事態の変化が予想されます。(と同時に、感染者の増加ということ以外は何一つ変化しない、という可能性もあります。それはそれで恐ろしい話です)
そうなってしまう前に、何故私が「政府からの特別な要請がない限り公演は決行する」と考えているのか、しっかりと書き残しておきたいと考え、今この記事を書いています。(あと今回初の試みである観劇体験のバリアフリー化についても、後述します)

公演の決行・中止にまつわる判断基準は、各カンパニーそれぞれにあると思います。
お客様・公演関係者の安全を考えて……。社会的責任を考えて……。経済的判断で……。どれも理解できるし、どれも尊重されるべきです。
そんな中、私の判断基準は
「どうしたら世の中の選択肢をより多く担保できるか」
ということでした。

私にとって「よい世の中」というのは「多様性のある世の中」と同義です。
どんな人間も、どんな生き方も存在できるし存在していい、そんな世の中が私の理想です。(もちろん「人には差別する自由がある」というような過剰な自由主義や、「人には貧しくなる自由もある」というような自己責任論には同調しません)
そして、多様性のある世の中の実現に必要なのが、「多くの選択肢」だと思っています。選択肢が多様であることは、世の中の多様性に繋がるからです。

だから私はギリギリのタイミングまで、お客さんの「劇場に来る」という選択肢も「劇場に来ない」という選択肢も、保持し続けたいと考えました。
公演を取りやめてしまえば、お客さんの「劇場に来る」という選択肢は失われてしまう。公演がやっていれば、来ることも、来ないことも選べる。
お客さんが選べる環境を、出来る限り維持したいのです。
そういう思いで「政府から特別の要請がない限り公演は決行する」という方針を立てました。

さて。

明日からの一週間、世の中はどのように動いていくのでしょうか?
現時点では「政府は緊急事態宣言の発出に慎重姿勢」と報じられています。
「18日の国会開会まで判断据え置きか?」という予測もあるようです。
「政府からの特別の要請がない限り公演は決行する」という方針を変えるつもりはないですが、正直、頭を抱えています。
「特別の要請」、出るなら出ろよ、とは思ってます。
そういう事態は想定してたし、覚悟していました。企画の早い段階で、関係各位に公演見送りになった場合のキャンセル料について話はしていましたし、見送りになった場合でも経済的な打撃を受けないような予算設計をしていました。
ただ「強い要請が出るか出ないかわからない状態がダラダラ続く」という事態は想定していませんでした。「国と自治体の足並みが全くそろわず膠着状態になる」事態も想定していませんでした。
現実は、いつだって想定の斜め上を行く、しかも悪い方に。
ここ一年の政府の動きの鈍さを勘定に入れていれば、充分想定しうる事態だったのですが、生来の私の脳天気さが出てしまいましたね。
自分の想定の甘さを悔やみながら、正月休み最後の一日が終わろうとしています。

緊急事態宣言だけが「強い要請」ではありません。
20年の3月に都が出した「週末外出自粛要請」によって、多くの公演が中止の決断をしました。私が作演出で関わっていた私立恵比寿中学の演劇公演『ボクコネ』も中止になりました。
あの時のように、緊急事態宣言が出ないまでも、外出自粛要請が出るかもしれない、時間帯が限定されるかもしれない、職種が限定されるかもしれない。その結果、針の穴に糸を通すように小劇場の演劇公演であれば開催可能という状況が生まれたとして、果たして私はどう判断すべきなのか。
そんなことを、これから毎日、毎日、毎日、毎日、考え続けなければならないのでしょう。
主宰者であれば負って当然の苦悩とは言え、本当に厳しい世の中ですね。

話がかなりズレてしまいましたね。
大変な世の中ですが、であるからこそ「多様性のある世の中」実現のための努力をやめてはならないと思っています。
そのために自分は何が出来るか、これからも考え続けて行きたいと思います。
今回の公演では多様性の実現のための試みのひとつとして、観劇のバリアフリー化に取り組んでいます。
世の中の多様化の第一歩として、客席を多様化したかったからです。
全公演舞台手話通訳・タブレットによる字幕表示付き(タブレットは要予約)
16日のマチネには視覚障害者を対象とした事前舞台説明会の開催・駅から劇場へのアテンド(説明会・アテンド共に要予約)
ご要望があれば、車いすでの観劇、盲導犬の同伴にも対応いたします。
演劇に出来ることはまだある、しかもたくさん。
このことが大きな原動力として、私の精神を支えてくれています。
今回の企画で得られた知見が霧散しないよう、冷静に一つ一つ判断していきたいと思っています。


今はまだ何もハッキリとしたことは言えませんが、ひとまずの今の気持ちの記録として、この記事を発表いたします。

最後にいちおう……
やはり、より多くのお客様に見ていただきたいという気持ちはどういう状況であれ捨てられぬ悲しい性を開陳して、この記事を閉じます。

タカハ劇団第17回公演『美談雑人』ご予約窓口

ローソンチケット
https://l-tike.com/takaha/
ローソン・ミニストップ店頭Loppi(Lコード:35024)

演劇最強論-ing(手数料無料 チケット代のみで購入可)https://www.engekisaikyoron.net/

高羽彩扱い予約フォーム
https://www.quartet-online.net/ticket/bidan?m=0qhdehj

字幕用タブレット・事前説明会・劇場までのアテンド予約窓口

バリアフリー対応専用窓口(平日10時から19時)
バリアフリーサポート:Palabra(パラブラ)株式会社
TEL: 03-5937-2231 FAX: 03-5937-2233
Email:event@palabra-i.co.jp

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脚本家・演出家・役者演劇プロデュースユニット「タカハ劇団」主宰「タカハ劇団」全作品の脚本・演出をつとめる。演劇以外にもアニメ・ラジオドラマ脚本や小説の執筆をする場合もあります。