見出し画像

論文紹介 地域連携におけるサルコペニア対策

こんばんは。たかです。

久しぶりの投稿となりました。

最近サルコペニアについてまとめることが多いですが、若林先生のもので興味が引くものがあったので、今回はそちらからです。

「地域連携におけるサルコペニア対策」 若林 秀隆 CLINICAL REHABILITATION Vol.29 No.12 2020.11

地域連携ということで、現代の日本では予防医学の重要さが叫ばれておりますが、それについて大変参考になったのでご紹介させていただきます。

今回はまず今回はサルコペニアの各施設における有病率、リハ栄養の実践にむけての評価、ゴール設定時の留意点についてを論文から学んだことを記していきたいと思います。

はじめに

サルコペニアの有病割合は、セッティングによって異なる。施設別にみたメタ分析では、地域住民で男性11%(95%信用区間:8-13%)、女性9%(95%信用区間:7-11%)、高齢者施設で男性51%(95%信用区間:37-66%)、女性31%(95%信用区間:22-42%)、病院入院患者で男性23%(95%信用区間:15-30%)、女性24%(95%信用区間:14-35%)にサルコペニアを認めた。一方、急性期後の入院リハビリテーション患者を対象としたメタ分析では、56%(95%信用区間:46-65%)にサルコペニアを認め、他のセッティングより多かった。

それぞれの生活の場によって有病割合がこれだけ違いが出ています。

これは単純にそれぞれの施設や自宅において、活動量の違いや栄養摂取状況の違い等によるものとなりますね。

地域住民⇒加齢

急性期病院⇒疾患

回復期病院、地域包括ケア病棟⇒疾患、低活動、低栄養

高齢者施設⇒加齢、低活動

の影響が考えられるとのことです。

それぞれイメージはしやすいと思います。ここから分かるのは、サルコペニアは様々な要因で認められるということですね。各々の施設別における違いを把握し、その原因によって対策も異なるためしっかりと押さえておきたいですね。

風邪のように一過性のものではありませんし、放っておくと悪循環に陥り要介護状態となるリスクが高まるので要注意かと思います。

自分は回復期病棟で勤務しておりますが、確かに、まだ満足に動けない、食べられないという方は多く、そういった方は筋力低下がみられる方が多いように思います。この辺について少しずつケアしながら訓練を行っているところです。

リハビリテーション栄養

質の高いリハ栄養の実践には、リハ栄養アセスメント・診断推論、リハ栄養診断、リハ栄養ゴール設定、リハ栄養介入、リハ栄養モニタリングの5段階で構成される。

リハ栄養ケアプロセスとは

画像1

画像:森永乳業グループ病態栄養部門 株式会社クリニコHPより引用

この図でわかる通り、これらを意識してしっかりと回していき、QOL向上を図ろうという、リハ栄養の考え方です。

特に重要なのは、リハ栄養診断でサルコペニアの有無を診断するだけでなく、原因(加齢、低活動、低栄養、疾患、医原性)を追求することである。

画像3

論文内のこの図を見ると

① 栄養障害②サルコペニア③栄養摂取時の過不足について各々評価すべき項目が挙げられていますね。

何についてもそうですが、原因について考えることは大事ですね。それによって対応が変わります。

ただリハ栄養を行うにあたってこのように指標を基に評価することで誰が評価しても“漏れ”が少なく評価できるようになると思うので、このような指標があることはとても大事ですね。

実際にはこれらが複合的にみられることも多いと思うので、総合的に評価することが大事になってきそうです。

改善すべきサルコペニアか

栄養改善しながらリハを行うことで、嚥下機能、呼吸機能、ADL等の生活機能の改善を期待できるかどうかを多職種で検討する。

これはリハ栄養を考えるうえでとても大事な視点ですよね。やみくもに「とにかくカロリー摂取を!!」というのは現実的ではありません。内部疾患などその方によって違うし、リスクも違う。その方の全体の状態をみて適切なゴールはどこなのか判断していくことが大切になりますね。

実際に完全四肢麻痺等でほぼ動くことがむずかしい場合にはただただ摂取カロリーを増やしても、実際には体重が増加するだけで(この時増えているのは筋肉ではなく脂肪)、介助量が多くなるだけです。

ただ脂肪を増やすことになってしまい意味がありません。

こういった場合には維持を目標にすることが妥当となりますね。

またサルコペニアの原因によってもゴール設定が変わります。

高度の飢餓やRefeeding症候群およびそのリスク状態、高度の侵襲(例:CRP 10ml/dl以上)、不応性悪液質の場合には栄養改善は困難であり、栄養維持もしくは栄養悪化の軽減の方向でゴール設定する。

現場で常に意識している方にとっては当たり前かもしれませんが、大事な部分ですね。

これらのように、まず栄養診断を行い、本人の現在の状態や、サルコペニアの原因によってゴール設定が異なります。

最初のゴール設定が誤ってしまうと介入も不適切なものとなってしまうため、注意したいですね。

僕の働く回復期病院では皆がこれらをすべて意識してかかわっているとはまだ言えない状況です。

まず、リハ栄養の大切さを多職種の多くの人に知ってもらい、協力しながら進めていけるようにしていきたいと思っています。



はい、途中ですが、ここまでで本日は終わりたいと思います。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

論文ではその後、各施設や地域におけるサルコペニアについての対策が述べられていたため、その辺について学んだことを載せていければと思います。

またよろしくお願いします!!


いいなと思ったら応援しよう!