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日本の企業で働く広報職の99%の人たちは基礎知識を持っていません

自分のプロフィール紹介兼仕事依頼記事。長すぎるけど、読み返してみると、なかなかまとまっている。が、長すぎるので切り売りしてみようと思って数回に分けて紹介します(切り取り方によっては加筆します)。

このページを訪れる人ってどんな人?

「広報」「PR」「パブリックリレーションズ」「ホームページ」「マーケティング」「UI改善」「社内広報」などなど、企業と人、人と人をつなぐコミュニケーションをキーワードにしてこちらに来ていただいた方が多数かと思います。あるいは、わたしが何らかの事業に応募し、「この人は誰だろう?」と見に来てくれた人もいるかもしれません。

こちらに来ていただいた人たちの共通点は、組織間・組織内コミュニケーションでなんらかの問題解決をはかりたい、ということであると思います。わたしはパブリックリレーションズでその解決を図っていくのがいいよね、と考えています。

   マーケティング
   SaaSやテレワーク導入
   ホームページをちょっと改善したい
   SNS運用体制を検討したい
   コンバージョン解決したい
   メディアにアピールしたい

おそらくほとんどの来訪者がこのようなニーズを持っていることと思います。それをパブリックリレーションズで解決を、ときてもピンと来る人は少ないです。

パブリックリレーションズってなに?それよりもうちの問題を。。

あなたの問題に戻ってしまう前に、パブリックリレーションズはいまのところ、そのあなたの問題を解決する大事なポイントであることをまずは伝えておきます。パブリックリレーションズは、すべてのコミュニケーションの源流に位置するものです。そして上記に挙げたすべてを一気にパブリックリレーションズは解決してしまう、ということもお伝えしておきます。

パブリックリレーションズ聞いたことがない?無理もありません。このテーマは訳すと広報になりますが、日本の自称プロフェッショナルの人たちはこれをいっさい解説できません。ウエブページや特定のSNS(たとえばFacebookだけ、など)にしか知見がない人ばかりだから。

どうしてそうなってしまうのか。

理由その1:本場アメリカではパブリックリレーションズ学部が多数存在するが日本にはほぼ皆無

弁護士のための法学部、医者のための医学部があるように、コミュニケーション専門家のためのコミュニケーション学部が存在します。パブリックリレーションズを志す人たちにはさらにパブリックリレーションズ学部があり、体系化されたプログラムを大学で履修します。

パブリックリレーションズの本場は、アメリカです。全米の大学約200にパブリックリレーションズ専門学部が設置されており、ジャーナリズムやパフォーミングアートなど関連する学部設置も含めると、その数は500以上になります。わたしはそのひとつのPR学課に在籍し、Degreeを取りました。かつ、当時、コミュニケーション学部のディベート部門はハーバード大学を破って全国一位に、PR部門の後輩たちがPRケーススタディコンペで全米10位以内を獲得した、実績を作る教授陣に教えを受けることができました。

法学部や医学部のように、コミュニケーションの専門家としてのキャリア形成には、パブリックリレーションズ学部に在籍するのは当たり前です。大学に在籍している間に、報道対応術や広告コピー文の作り方、レイアウトやSNSの扱い方、マーケティングリサーチの実践、行動経済学や経営論の受講、政治的なロビーのインターン参加など、企業や団体が必須とするコミュニケーション術の基礎をみっちりと学び、訓練するのです。テキストベースにすると24000ページ分くらいの知識を身につけて社会に出ます。

日本の大学に専門学部を設置しているところがほぼ皆無

日本におけるパブリックリレーションズは、まず日本の大学に専門学部を設置しているところがほぼ皆無です。ゆえに、日本の企業で働く広報職の99%の人たちは学部出身者ではなく、素人です。基礎知識を持っていません。PRのフレームワークって何?って聞いても答えられません。24000ページ分が抜け落ちているまま、会社の広報職をやっています。現場で必要に応じてスキル形成をしてあと付けでそれっぽい理論を得た、というのが実情。ゆえに、日々進化していくコミュニケーションの形についていけず、自分のフィールドから少しでも出てしまうと応用力を失います。こういう人たちが広報がどうの、と意見を書いたりしているのですが、基礎知識24000ページ分をみっちりとやらされた私から見ると、お門違いなことばかりで、こういう人たちと業務提携した会社って、大変だなあ、って思います。24000ページ分がないまま、企業の重要な情報発信を一手に引き受ける。こわいです。

わたしはそれぞれの会社・団体が抱えるコミュニケーションの問題の本質をさぐり、PRのフレームワークに沿って問題解決を提案するだけでなく、実践も引き受けることができます。基礎に沿ってコミュニケーションを分析する構造は学生時代から培ってきたキャリアで、まわりの自称広報担当者の提案スキームとはまったく違うことが多いです(彼らはだいたい「新聞に来てもらいましょう!」「noteを書きましょう!」というような、1コミュニケーションチャンネルありきの話をしがちですが、コミュニケーション手段は用途に応じて最低でも100通りの手段があります。会社・団体の求める最終形とその達成に必要なミッションに応じて、この100通りの中の何通りかを選ぶことがふつうです)。

基礎フレームがわかっていれば、PRは業種・業界を問わずに横移動できる

どんな業界の会社もお客さんとコミュニケーションして売り上げを上げるという普遍性はかわりません。ゆえに、コミュニケーションの基礎フレームがあって、それをマスターしていれば、パブリックリレーションズ専門家は業種・業界を問わずに横移動できます。

ここでひとつ、広報職募集でお門違いな「●●業界経験●●年」ということが無効になります。それぞれの業界における勘所を得るという意味では●●年必要かもしれませんが、経営戦略とビジョンに沿って100通り以上あるコミュニケーション手段をどうやりくりするのか、をマネジメントする上流に位置するパブリックリレーションズは、基本的にそういう理論は重要ではありません。コミュニケーションを使って何を最終的に獲得するのか。マネジメントが目指す経営理念とは何か、こそが最重要トピックになります。

基礎知識のない事実をもろにさらす求人募集

と、ここで求人募集で24000ページが抜け落ちた広報募集が出てくるわけで、大抵はSNSをなんとかしてくれ、とか、マーケティングがどうとか、コミュニケーションのチャンネルのいくつかに特化した内容であることが圧倒的多数です。

正しい募集は、

「経営理念がこうで経営戦略をこう作ったので、これをうまく伝えてくれて効果もいろいろ出してくれる人募集」

というようなものになります。

最近では武田薬品がイントラコミュニケーションでこういうすばらしい募集を出していたくらいで、あとは残念なものばかりです。

実地のすばらしさを、トップダウン目線に転換できるかは、社長自らのイノベーション次第

もちろん基礎知識がなくとも、コミュニケーションの素養があるからこそ広報職が務まっている人が多数いるのも事実です。が、彼ら・彼女らの視野は24000ページを履修したアメリカの大学専門学部卒の人たちより狭く浅いのは確実です。さらに毎年1万人以上がPR学部を卒業しているのですよ、アメリカでは。だから世の中ではコミュニケーションを戦略的にとらえることは多くの人が知るところであり、経営の中にも浸透しやすい。戦略的視点をベースに、ライティングや調査など、日本の募集などよりもさらに細分化した求人があり、PR学部出身者はそういう特定分野からスタートして基礎知識を実地経験に転換しキャリアアップを目指します。自動的に、キャリアアップと戦略レベルの底上げがなされる環境がすでに整っているわけです。

ところが日本には、わたしがさわぎだした10年前からまったくといっていいほど変化が起きていません。PRの面白さに気づいてその職に就いた人たちの不幸はいまだに続いている。社内での低評価・低報酬も改善されていない。重要さを経営陣は知らないし、PR担当者たちも気づいていない。怒りでふるえるばかりです。

彼らの実地を無駄にしないためには、その上司になる人がトップダウン目線で活用しなければならない。つまり、コミュニケーションとマネジメントは一体とみなして上流からの視点に変換する機能を誰が提供するのか、ということになります。広報ができない以上(そもそも知らないわけだから知ろうとも学ぼうともしないし、できない)、一夜にして企業のコミュニケーションを大転換するのはただひとつ、社長の頭の中の固定観念を打ち砕き、イノベーションを起こせるかにかかっています

24000ページの知見を得られなかったのは、不幸な事故にあったようなもの。その挽回はマネジメントの活用以外にはないでしょう。つまり、社長がただしく今のPR担当を導けるかが、会社の命運を左右する状況になっています。すべてを無知なPR担当者に振り向けること・責任を取らせることは大間違いです。社長とPR担は一蓮托生。表裏の関係でなければこの国での成果はたかが知れています。気づいた順にやれることをすぐにやる。この文を読んで誰が気づいてくれるでしょうか。

元々の作品はこちら<超長文>





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