見出し画像

「接種証明アプリ」こそクソどうでもいいお仕事

最近読んでいる本に着想を得て書く。
原典はちょっとお高いので、購入を躊躇していた所、訳者によるエッセンス版(?)が登場したのでまずはこっちを手に入れた。

(原著もAudible版なら¥1,500なんだな)

ざっくり言うと、まあいわゆる「仕事のための仕事」、「あっても無くてもどうでもいい仕事」を紹介したり、なぜそういった仕事が発生するのか?といったメカニズムを解明したり、解決策を提示する内容。まだ全部は読んでいないけれど。

例えば、自分の場合はお役所に提出する書類のハンコだったり郵送するために封書につめたり、会議のためのきらびやかな資料を作る仕事だったりが当てはまる。

ちょっと引用すると、経済学者のケインズさんが、90年前に刊行した本で「人々は経済問題から開放され、労働も週15時間になるだろう」というようなことを予測していた。それは人々が豊かになって、技術の発展により超効率化が進むためにそうなるだろうとの予測だ。

ところが現在、そうはなっていない。それは「仕事のための仕事」いわゆる本書風に言わせると「ブルシットジョブ」のせいだと説いている。

以前のnoteにも書いたが、自分も「やってもやらなくてもよい仕事ならやらなくていいんじゃね?」を信条としている。ところが社会の風潮としてこれが許されない場面が多々あることも事実で、本当はやらなくてもいいことを2重3重とやっていたり、縦割り組織では実は同じ業務を複数の部署がやっていたなんてことも往々にしてある。

で、最近登場した「接種証明書アプリ」なるものもこの「クソどうでもいい仕事」の典型なんじゃないかと思えてならない。

というのは、大して使い道の無いこのアプリに、行政の職員がヒーヒー言いながら作業を続けている映像を見たからだ。

接種証明アプリの元データ、大まかな流れはこうだ
①コロナワクチンを接種
②接種会場で接種券のバーコードを読み取って国に送信(VRSというシステム)
③国はそのデータを元に国民の摂取状況を把握し公表
④データを利用して接種証明書のアプリとして利用
といったところ

国民の80%近くが2回目の接種を終えているからわかると思うんだけれど、接種を終えたらその会場で「接種済み証」なるものが貰える。貰えるといってもワクチンのロット番号シールと、接種日時、場所が記入されているだけの紙っぺら1枚なのだが。

そして、この「接種証明アプリ」の話題で誰もツッコんでいないのが不思議なんだけれど、ほとんど9割9分の国民がこの「接種済み証」で十分なんじゃないかという議論がまったくなされていない。要はアプリのために「クソどうでもいい仕事」を増やしているだけ。

元々アプリありきで議論が進んでしまっているところがこの「クソどうでもいい仕事」を生んでいるように思えてならない。東京都なんて先走って独自アプリまで作っているし。

行政の職員がヒーヒー言っていたのは、このアプリの元データの信頼性が低いから。せっかく入力したデータなのだが、何%かはエラーが混じっているらしい。我が地元のローカルニュースでは20数万件のデータを目視で照合している映像が流れていた。選挙の開票もそうだけれど、今って2021年だよね?本当にかわいそう。(自分だったら適当にやってしまいそうな作業)

で、このアプリの本来の目的は来たるべき次の緊急事態宣言のため。まず、そんな宣言がなされるかもわからないのに仮の話をしていることがおかしい。仮に発令されても、アプリで証明されれば9人以上の会食や大規模イベントにも参加できるとのこと。いや、それだけの用途ならば紙の接種済み証で十分じゃん。

しかし、苦労してアプリにする意味が本当にわからない。来年にはもうこの状況も克服しているかもしれないのに。その時が来たら笑って「あの時は大変だったね」なんて言えるのだろうか。

こんなことやっていたら週15時間労働なんて100年後にも実現していないんじゃないか?そこらへん盲目的にダウンロードしている皆さんはどうお考えなんだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?