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それでも旅に恋焦がれるという話

僕の町には線路がない。

だから子供の時に、友達と線路を辿って隣町に行こうなんて思わなかったし、ロリポップを口ずさんでテクテク歩くことはなかったし、橋を渡るときに汽車にひかれそうになることもなかった。
けれどそんな僕も、映画の中のあの4人のように、遠い町に焦がれ、未知なモノに向かって進むことへの”不安”と”期待”が交錯するなんとも言えない感情を知っている。

思えば小学生の時、僕の知り得る世界は小学校の校区内だけだった。
校区の外は、たまに親が連れてってくれる遠い世界。
それが中学になり校区が広がり、高校になると移動手段がバスになり行動範囲が大きく広がった。
大学生になって自分で車を運転するようになると、その広がりはかつてないほど加速した。
その度に僕は、僕の世界(自分のテリトリーと認識するエリア)は広がったような感覚を覚える。

かつて親に連れられて行った大型モールは、今では行きたいときに行けるようになったし、遠い世界と思っていたあの場所は今ではなんとも身近な日常の一部だ。


世界は広がった分、縮まったように思う。
僕はもう隣町に行くことだけで、あの少年たちのような物語は作れない。

大人になるというコトは寂しい。

でも、やはり、僕は、性懲りもなく、相変わらず、僕の外側の世界に焦がれていて、「あそこにはどんな人たちが暮らしを営んでいて、どんな景色があるんだろう」、そんなことを思い巡らしている。

コロナという強制的に行動を制限されている今、旅への欲求は深まるばかり。
今夜は「Stand By Me」に没入したい夜なのでした。



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