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世界の15~24歳の5人に1人はニート

8月13日の東京新聞朝刊に、世界の5人に1人はニートという記事が出ていた。どうやら共同通信社の記事が元ネタのようなので以下を貼り付けます。

こちらがILOによる報告書。報告書によると、ニートが20%にも上る主な理由は、若者の将来への不安が高まっていることが挙げられていました。また、男女比で行くと、女性の割合が28.1%と、男性の13.1%に比べて2倍以上高いとのことです。

7月にEUのユースワーク研修に参加するためにルーマニアに行ってきたのですが、そこにはEU各地から15歳~25歳くらいの若者何人かと話す機会がありました。今回参加した国は、ポルトガルや、ポーランド、イタリア、マルタ、ルーマニア等、比較的経済的に苦しい国が多く、彼らからたくさんの生の声を聞くことは、日本と少し遠いヨーロッパ諸国を見つめる上でとても参考になりました。

研修自体については、一緒に参加した日本福祉大学の両角さんがまとめてくれているのでこちらもぜひ。

彼らの多くは、EUの中で、自分自身の興味にもあいつつも、少しでも待遇のいい職業を探して、いろんな国を移住しており、今回のユースワーク研修の参加のモチベーションも、他国とのネットワーキングによって、自分自身のキャリアアップの機会を探していたということも大きそうでした。

ユースワークというのは、国によって定義や対象は多少異なるものの、15歳~29歳くらいの若者世代の権利保障や自立のための主体的な活動を応援する取り組み。日本でいう「若者支援」や「就労支援」と似ているが、日本とヨーロッパの違いは、ヨーロッパの方が、若者の社会参加、政治参加という若者自身に主体性を置いていることで、日本はどちらかというと「社会のための若者の自立」という主語が社会側にあるということが、私の中での印象です。特にフィンランドの視察に行ったときに、「ユースワークは社会課題解決ではなく若者の権利保障だ」という言葉をたくさん聞き、北欧はユースワークの先進的な国でもあるので、思想が根強くあることを感じていました。

一方で、東欧や、経済的にまだEUへの依存度の高い国については、ユースワークというのは、北欧に比べると日本の就労支援的な文脈に近づくなということを感じました。若者は、自国内では家賃を払えるような仕事にすらたどりつけないので、少しでもスキルアップをして、EUの他のより先進的な国でキャリアを見つけ、そこで活躍していく、そのためのネットワーキングや、支援をしていくということがユースワークの中心の一つのように感じました。

今回私が参加したユースワーク研修のテーマは、AIやフェイクニュースがあふれる中で、どのようにメディアリテラシーを身に着け、若者のより主体的な社会参加を促していくかという、本来のユースワークの思想に近い研修で、その研修に参加していた若者たちも、そんなこと普段考えていなかった!ととても満足度も高く、驚きの連続のようでしたが、それだけに、日ごろはもっと目の前のことで精いっぱいなんだろうということも感じました。

YoutubeやTiktok等の短くてわかりやすい情報が、入手する情報のほとんどで、学校の先生や、テレビのニュースの情報よりも信頼している。そんな中で、過激な思想の政治家が台頭しても、全体像までは見えず、自分自身の苦しさに訴えてくるわかりやすい発言に刺激をされてなんとなく応援する。最近のEUでの極右政権支持の流れは、こういった社会情勢や経済状況も影響しているのだろうと思いました。

ニートの話からだいぶそれましたが、約7日間のユースワーク研修に参加した若者たちは、それでも他国の参加者と意見交換できる語学力があり、行動力や向上心がある人たち。おそらく5人に4人の中にいる人たちばかりだったのでしょう。それでも経済や社会がよくなる見込み、いえ、そんなことよりも、自分の生活の見通しがよくなる見込みが見えない中で、なんとなくショート動画を見て、その日を過ごしていく。それが今の若者のリアルな姿なのかもしれないと思いました。







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