【映画レビュー】「狂い咲きサンダーロード」(1980年 日本)〜暴走する若者たちの姿を描いた世紀末系バイオレンスアクション〜

【タイトル】
「狂い咲きサンダーロード」(1980年 日本 98分)
監督、脚本 石井聰亙
脚本 平柳益実、秋田光彦
出演 山田辰夫

※本作には暴力、不適切な発言や表現などが含まれております。

【あらすじ】
 近未来の日本。「サンダーロード」と呼ばれる街で、ある団体の活動を相手に暴走し続ける若者の姿を描いたバイオレンスアクション映画。

【感想】
 主人公の仁はとにかく荒れ狂れ者ではある。
 だが、仲間達と一緒にバイクで走ることだけが生き甲斐であり、同時にそれ以外で生き方を見出せない若者でもあった。

 公開当時。暴走族が全盛期の時代だったのか、近未来という設定ではあるが1980年当時の暴走族のスタイルやファッション、今では珍しい旧車のバイクが画面いっぱいに観れ、かなりのド迫力。まさに和製のマッドマックスとも言える作品。
 BGMで流れる泉谷しげるの歌が良い味を出している。

 今よりも規制がかなり緩い時代だったためか、ヘルメットをしないでのバイクの運転やドラッグ、シンナー、危険な団体、放送禁止用語の連発などが普通に映し出され、令和となった現在の視点だとかなり不適切に感じられるかもしれない。

 この映画を観て、なんというべきか、いつの時代も若者は大人には理解されない存在なんだと思った。
 有り余った若さをぶつけられず、常に行き場のなさを抱えて、苦悩している。
 そして、それはいつの時代であっても若者たちが抱えており、つい暴走してしまう。
 これは、時代に関係なく誰もが抱く感情だと思った。

 なお、この映画は監督が大学の卒業制作で作った自主制作映画だったそうで。
 そう考えると、やはり、この映画には行き場のない若者たちの叫びが込められていたのかもしれない。

 反社会的な内容ではあるものの、あの時代を生きた若者たちの叫びと嘆きが聞こえる作品だった

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