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寝台バスでベトナムを旅する

 東南アジア各国で国内旅行をするとき、足として使いやすいのが長距離バスだ。東南アジアは鉄道網があまり発達していない。近年は格安航空会社の台頭で、たとえばタイなんかはバスよりも安く地方に移動できる。しかし、空港が主要な場所にしかないため、行きたいところに行けない場合も多々ある。だから、安くて路線網が発達した長距離バスがいい。

 ベトナムも例外ではない。ハノイ、ダナン、ホーチミンの主要都市の移動は飛行機でもいい。しかし、その周囲の都市へは基本的にバスがいい。ベトナムの場合、タイや日本では見かけない「寝台バス」が存在する。どんな具合なのか試してみたくて、ベトナム滞在時に利用してみた。

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 ベトナム国内の長距離路線網はかなり発達している。基本的にベトナムのすべてをバスで移動できると思っていい。

 ただ、不便な点は、ハノイなどの大都市はバスターミナルが中心地になく、かつ行き先によってターミナルが違うことだ。タイもそうだが、ひとつに集中させず、ターミナルを複数置いて、分散させている。だから、初めての場合、ちょっとわかりづらい。

 ほかに旅行代理店などが用意する長距離バスもある。ハノイならホアンキエム湖周辺の旧市街、ホーチミンならブイビエン通りにある旅行代理店やゲストハウスがチケットを売っている。この辺りは安宿街なので、そういったケチなバックパッカーを相手に、業者がみんなで協力してチケットを売りさばいている。

 こういった旅行代理店のバスの場合、行き先はハノイ-ホーチミン間といった主要都市を結ぶものになる。しかしこのチケットが優れているのは、航空業界で言うオープンチケットになっている点だ。回数や期間に様々な条件が加わるけれども、途中下車をして、再びバスに乗ることができる。つまり、ハノイとホーチミンの間で1回から数回ほど、好きな場所で乗り降りできるので、わりと自由な旅ができる。

 ちなみに、東南アジアはわりと国際バスも走っている。ホーチミンの場合は近いこともあって、カンボジアのプノンペンにバスで行くことも可能だ。

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 先日紹介したカントーに行くときに、このバス会社を使った。FUTAというのだが、これは英語名で、ベトナム語ではブオンチャンというバス会社になる。おそらくベトナムでも1、2を争う大きなバス会社だ。

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 この会社の車両はオレンジ色だ。目立つので乗り場やバスチケット売り場がすぐにわかる。カントー行きのバスターミナルは中心地から西の方に外れた場所にあった。

 このとき、近々に出発する寝台バスが全部売り切れになっていたので、行きは仕方がなく普通の座席になった。聞いたところでは寝台も普通座席も同じ料金だ。

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 外側の派手さと比較して、中はかなり地味だ。というか、全然客が乗っていなかった。人気が寝台に集中しているからか、座席バスは広々としていた。

 カントーまでは確か3時間くらいだったか。バス車内はWi-Fiが飛んでいるので、車窓に飽きても暇つぶしもできるので、これくらいの時間は全然苦痛ではない。

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 カントーのバスターミナルだ。というか、たぶんプオンチャンの専用ターミナルなのだと思う。市街から見ると川を渡った側にあるので、ここもそこそこに不便な場所にある。とはいえ、タクシーが待機しているので、市街との往復はしやすい。

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 これが寝台バスだ。外観的には座席バスとあまり違いはないが。やや天井が高めなのかな。

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 乗車時にチケットを確認するのだが、寝台バスは基本的に土足厳禁なので、入り口で靴袋をもらって乗り込む

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 これが寝台バスの中である。タイの長距離バスはVIPクラスになるとフラットに近いリクライニングがあるが、ベトナムの寝台バスはこのように寝台らしき席が2段、3列ほどある。

 思ったほどフルフラットではない。結局のところ座ることもできないので、体勢的には居心地がいいとは言えない。足が臭い人もいたりするし、大体横転事故でも起こそうものなら結構怖い。靴も脱いでいるから、ガラスが割れた中を果たして逃げられるだろうか。

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 幅はいいのだが、縦のサイズが171センチの身長にはちょっときつめだった。足は前の座席の下に入り込む形になる。靴袋はそこに置くことになるので、かなり狭く感じた。

 おすすめは下の段だ。上はちょっと居心地がよくない気がした。

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 ちなみに、プオンチャンはかなり大きなバス会社なので、独自の休憩所を各地に持っているようだ。タイもそうだが、長距離バスは土産もの店を併設した休憩所がある。しかし、プオンチャンのように1社で持っているところなんてそうないのではないか。

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 行きの休憩所でこれを買った。肉まんだ。ハノイでは肉まんをあまり見かけない気がするが、ホーチミンはどこにでもある。ちょっとだけ腹が減っていたので試しに買ってみた。

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 わりとサイズは大きめだ。パンの部分も大きいが、肉も結構なサイズだった。あまり好きではないが、ウズラの卵らしきものも丸々入っていた。結構気に入ってしまって、帰りは2個買ってしまった。

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 これはハノイのバスターミナルだ。国鉄ハノイ駅を南下した場所にある。ベトナム語ではバスターミナルは「BEN XE」と書くようだ。ベンセーと読むらしく。

 しかも、ここはザップバットという名称のバスターミナルになるのだが、アルファベットでは「GIAP BAT」と書く。ギアップと読みたいところだが、これでザップなんだそうだ。

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 クアットラムという場所に行くためにこのターミナルに来た。ところが、チケット売り場にクアットラムの文字がなく、近くにいた人に聞いてみたら連れて行かれ、そのまま乗せられたのがこのミニバスだった。

 クアットラムはビーチのある町だ。ハノイの人が遊びに行くビーチリゾートは工業都市になるハイフォンの方にある岬ドーソン、それからこのクアットラムなんだとか。このクアットラムの海岸には何十もある海の家が連なる。そこの取材をするために向かった。海の家にはある特徴がある。どんな特徴があるのかというのはネット検索で(下ネタ注意)。

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 このミニバスはむちゃくちゃ狭いし、ぎゅうぎゅう詰めで大変だった。ただ、Wi-Fiがあるのでなんとかなったが。全然英語が通じないし、パスワードもベトナム語で言ってくるので、隣の人に打ってもらってなんとかなった。

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 季節的に寒いのでビーチで泳ぐ人がいない。それどころか海が日本海のように大荒れ。波が海の家などが並ぶ通りにまだ来てしまい、辺りは泥だらけだった。

 クアットラムはナムディン省にあるのだが、中心からはかなり離れている。そのため、周囲にバスターミナルがない。帰りはこの辺りを走る赤いミニバスに乗り込み、中心地にあるタイ系のスーパーマーケット「ビッグC」で降りてハノイ行きに乗り換えるか、ボクが来た方法で逆方向のザップバット行きに乗るかしかない。

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 ビッグCからハノイと、クアットラムからハノイのバス料金は同じだ。確か7万ドン(約350円)だった。だから、ボクはザップバット行きを待ったのだが、全然来ない。それで近くにあったコーヒー屋台で座って待つことにした。

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 そうしたら、丁寧にドリップして作ってくれた。が、こんな量なのに全然コーヒーができあがらず、やっと出てきたと思った瞬間、ザップバット行きのバスが通過していった。どうやら1時間に1本の割合で来るようだ。ちなみにビッグC行きのミニバスなら15分に1台は来た。

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 そして2時間ほど待ってやって来たザップバット行きは、なんと寝台だった。やっぱりこのバスも土足厳禁だった。

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 しかも、間違ってまた2段目に座ってしまった。Wi-Fiもないし、帰りは少ししんどかった。

 ボクの好みで言えば、寝台バスはあまりよくない。

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