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インドシナでローカル食に飽きたらピザがいい

 旅行作家の嵐よういちさんと飲むときにはいつも旅の裏話を聞かせてもらう。その際、現地の食事に飽きたり合わない場合は中華料理に行くのが無難だと嵐さんはよく仰っている。確かに和食店がない地域もあるし、そもそもにおいて海外の和食店はおいしくないことが多い。だから、比較的食べ慣れた中華がいいというのは理に適っている。確かにボクもローカル料理に疲れてしまい、かといって和食店がみつからないときは中華を探す。

 一方で、ベトナムだと特にハノイは中華料理店が少ない。最近こそ和食店が増えたのでハノイは問題ないのだが、インドシナだったらピザもいいのではないかとボクは思う。前回に引き続きインドシナネタになるが、ボクがフランス領インドシナ――ベトナム、カンボジア、ラオスで見てきたピザについて書いていく。

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 ピザというのは不思議な食べものである。イタリア料理という印象が強いが、ピザを食べて喜ぶのはアメリカ人というイメージもあるし。

 子どもは国籍、人種に関係なくピザというだけでテンションが上がる。上の画像はバンコク郊外のIKEAの飲食スペースで息子が食べたピザだ。息子はあまりカメラに向かってポーズや顔を決めたりしないが、さすがにピザが息子にピースをさせていた。それくらい、ピザは人を鼓舞させるなにかを持っている。

 ボクも世代的にはピザは特別な料理という思いがある。小学生、あるいは中学生のときにドミノピザが近所にできて、初めて食べたときのワクワク感が強く心の奥にあるからかもしれない。

 そして、前述の通り、ハノイには住民の気質からなのか、中華がほとんどない。しかし、そんなハノイでもピザは多い。インドシナ3国全体を見ても、ピザ・レストランはそこかしこ、どこにでもある。だから、和食も中華もなかったとき、ピザで無難に夕食を済ませることができる。

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 どちらかというと、ボクはピザはドミノピザなどのように耳が厚いタイプが好きだ。しかし、インドシナで見かけるピザは大半が本格的なタイプなので、生地が薄いものがほとんどになる。生地が厚い店は、今はそれほど見かけなくなったが、冷凍物みたいなケースが多い印象だ。つい10年くらい前にはそんな店がたくさんあったような気がする。今はそれでは客が来ないので、本格的な店が圧倒的に増えた。

 上の画像はラオスの首都ビエンチャン、メコン河近くの通りにあったレストランだ。いつも泊まっていた宿の前に2015年ごろ、突然現れた。フランス人女性が経営しているようだったが、本格的な石窯まで作って、ピザがとにかくおいしかった。

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 ラオスはビールとコーヒーと電気以外は他国の製品を使っていると言われるほどで、コンビニでも屋台でも、タイよりも値段がやや高い。ビールなどのアルコールの税金が安いので、食事をするとトータルでは安いのだが、食事そのものはタイよりも高い。

 しかし、ピザは同じレベルのものをバンコクで食べるとするともっと高いような印象だ。つまり、ビエンチャンのピザはわりとコストパフォーマンスが高い

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 これも一応メニュー上はピザだった。フランス料理店のヴァンドームで食べたものだ。包み焼きのピザと呼ぶのだろうか。

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 中はチーズと野菜、そして半熟の卵が入っていた。これもバンコクなら相当な値段がしそうだが、それほど高くなかった(はず)。

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 地方に行ってもやはりピザはあった。たとえば、山リゾートであるバンビエンも市街地はやたらにパブレストランがあって、どこにもピザがあった。ただ、特筆しておいしいわけではなかったけれども。

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 これはカンボジアのプノンペンだ。カンボジアもピザがどこにでもあった。

 ただ、プノンペンは中華料理もあったので、ボクはカンボジアでピザを食べたことがない。その中で憶えているのが、プノンペンのトンレサップ河とメコン河の合流地点が望める辺り。王宮の近くだったかな。ここに何軒か「ハッピーピザ」があった。店によってはハッピー・ハーブ・ピザとも。上の画像の黄色い軒先のテントを張っている店がそれだ。これは2011年の年末くらいの撮影だ。

 このハッピーは要するにマリファナの葉のことだ。先のラオス・バンビエンにもハッピーメニューを売りにする店があったが、ボクが行ったときは取り締まり直後だったので、看板は控えめだった。しかし、プノンペンでは表通りなのに堂々と営業していた。今もあるのだろうか。

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 ベトナムのピザ店は星の数という感じだ。インドシナ3国の中では食事関係は突出して優れているのもまたベトナムの魅力だ。

 このアルフレスコという店はハノイに何軒もあり、ホーチミンやダナンにもあるはずなので、全土展開のチェーン店だ。簡単に言えばファミレスのようなイタリアンという見方でいいでしょう。

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 アルフレスコのピザはこんな感じだ。なんか適当に作った感があるが、その分安いというメリットもある。味はまったく問題ない。

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 最近は日本人が始めた「4P's(フォーピース)」がベトナム、特にハノイとホーチミンではすごい人気だね。名前を寄せた偽レストランまで出ているらしい。

 ここはピザ専門店ではなく、イタリアン・レストランだ。クラフトビールもあるし食事メニューも豊富で、かつむちゃくちゃおいしい。パスタもサラダもなんでもイケる。もちろんピザも。上記のピザに載っているモッツァレラチーズ(だったかな?)は自家製なんだとか。初めて行ったときに感じたおいしさといったら、度肝を抜かれたね。

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 ただ、こういうのじゃない感が強いのがボクの印象だ。本格イタリアンを欲しているなら最高の店だと思う。ただ、ボクがインドシナで求めるピザのコンセプトとしては、あくまでも「ローカル食に飽きたときに行くピザ」なので、この本格レベルはなんか疲れてしまいそうだ。

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 2011年ごろのホーチミンの安宿街ブイビエンではピザなんてこんなものだった。あまりおいしそうではない。まあ、これは選んだ店が失敗だったという話なんだが。

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 このような普通の感じのピザもある。シンプルでおいしい。でも、ボクにとってのピザはやっぱりサラミである。

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 こういうヤツだ。ドミノピザでもサラミだけのピザが好きだし。年齢的なのかな。ピザと言えばサラミなんだよ。

 このピザもブイビエンで食べたものだ。最近はベトナムに行ってもピザは食べていない。フォーを皮切りにベトナム料理の深さに気がついて、今ベトナム料理に飽きることがないからだ。この画像も確か2012年くらいだったはず。もしかしたら2011年か。

 余談だが、このピザはエアコンのない、間口にドアもない店で食べた。表を向いて食べていたら、通りの向かい側の商店から警察に手錠をかけられた白人が出てきた。窃盗か麻薬か不法滞在か、そんなところでしょう。当時のブイビエンは今ほど人がいなかったので、こういう変な輩が多かった。2000年以前のカオサン通りのような場所だった。

 このようにピザは旅の思い出に味をつけてくれるので、ローカルに飽きたらおすすめである。

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