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ビールと女は地元がいい

 ボクのしょうもない持論に「ビールと女は地元がいい」というのがある。女性はタイにいればタイ人がやっぱり美しい。絶対数が違うというのもあるでしょう。ベトナムに行けばベトナムが、台湾なら台湾、そして日本なら日本人女性が一番輝いている。そんな気がする。

 アルコール類もそう。特に鮮度と繊細な輸送が必須なビールはこれに当てはまる。どんなにおいしいビールも海外に行けば、当地のビールには負けるのだ。

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 このビールに関してはボクの体験から思ったことである。2002年に移住したのちも様々な手続きがあって、何回か日本に短期で戻った。ボクは実家がそうだったことも影響して、キリンビールが好きだ。特にラガー。あるとき、このラガーをカバンに入れ、タイに持ち込んだことがある。いつも食べる屋台飯をキリン・ラガーでやっつけたらどんな感じなのだろうか、と。

 同時に台北にも寄ったので、台北のビールも買った。同じように持ち込んで、シンハビールと比べてみたかった。正直言えば、シンハビールをおいしいと思ったことがない。当時は生ビールがほとんどなかったので、瓶か缶でしか飲んだことがなかったのもあったと思う。

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 そして、いざその日が来たわけだ。ちゃんと缶は冷蔵庫でキンキンに冷やした。準備万端だ。

 ところが、全然おいしくなかった。多少揺れたり、温度変化が中身に影響したとは思う。それにしても、だ。おいしくないというか、まずく感じたほどで。あまりの味の違いにショックを受けた。環境が違うだけで、ここまで違いものなのか。

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 そこで思う。どんなにいいビールも、地元のものに勝てるわけはない。その土地の水と気候でできあがったアルコール飲料が、その土地の水と気候で育った食材で作られた料理に合わないわけがない。逆に、外国のビールが合うはずもないのだ。考えてみれば、日本のタイ料理店でバイトしていたときに、ほかのタイ料理店などに何軒も足を運んだが、そこで飲むシンハビールは全然おいしくなかった。

 ラオスならビア・ラオ、ベトナムならベトナム・ビールだ。そう、ベトナムを見たら特にわかることだ。初めてのベトナムは2010年なので、タイ移住当時はベトナムに行ったことがなかったけれど、2010年代初めですらまだ地域で飲まれるビールが違っていた。

 ベトナムはハノイ、ダナン、ホーチミンと大きく見て北部、中部、南部の大都市では飲まれる主要ビールが違う。ハノイならビア・ハノイ、ホーチミンはビア・サイゴン、ダナンはラルーだ。これらはその土地で醸造されるから、かつて流通事情がよくなかったベトナムでは住み分けができていたようだ。

 とはいえ、近年はハノイでもビア・サイゴンのスペシャルが容易に手に入るようになった。なんならビア・ハノイよりも人気があるようで。ボクの持論が全然通用していなかったりして。ま、ベトナムという大きな地域で見れば、やっぱりビールは地元に限るという点は間違っていないと思う。

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