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邦楽リミックスアルバムについて好き放題書いてみたい②~平井堅 / Kh re-mixed up1 (2001)

 ちょっと間が空いてしまいましたが、邦楽リミックスアルバムについて好き放題に書いてみたい第2回目でございます!今回ご紹介するのは平井堅「Kh re-mixed up 1」(2001)。浜崎あゆみayu-mixシリーズ、MISIAのRemixアルバムシリーズと同じ時期に発売されているので、メジャーのアーティストがリミックスアルバムを出してヒットさせてる頃の作品ともいえるかもしれません。ハウスやヒップホップがメインのアッパーな"side:move"、レゲエ、ダブ、クラブジャズがメインのチルアウトな"side:still"とディスクを分けたコンセプチャルな二枚組アルバムになっております。

平井堅 / Kh re-mixed up1 (2001)

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 1曲目は当時の大物海外リミキサーとしておなじみ"Hex Hector"による"KISS OF LIFE”のハードハウスRemix。なんとこのリミックス、サビのメロディーが原曲のリズムからズれており違和感が凄い!のですがこれもまた”海外リミキサーあるある”みたいなもので、メロディーの捉え方が違うのかなぁみたいな。今となってはご愛敬といいますか、これもまた邦楽リミックスを聞く醍醐味でもあります!(強引)。ちょっとスタートから不安になってしまうアルバムなのですが、その不安を2曲目のajapai氏のリミックスで払拭!!2stepのツボを押さえまくった最高のRemix!和製2stepコレクターは大喜び間違いなしでしょう。ajapai氏は邦楽リミックスアルバムの常連アーティストでもあるので今後もリミックス作品を紹介することになると思います。あと、ご存じの方も多いとは思うのですが、2010年以降に北米を中心としたDUBSTEPシーン(一時期はBROSTEPと呼ばれDUBSTEPの発祥の地UKのシーンとは差別化されておりましたか勢い今も止まらず)で大活躍することとなります。

 3曲目はKICK THE CAN CREWのKREVA氏。トラックメイクのみならずラップパートを加えた疑似コラボ曲のようなリミックス。ダンス系のリミキサーとは違ったHIPHOPのアーティストならではのアプローチなので当時としては新鮮だったと思われます。ちょうど2001年といえばKREVA氏がB-BOY PARKのMCバトル3連覇目の年でもあり、KICK THE CAN CREWがメジャーデビューしイツナロウバやクリスマスイブRAPをリリースした年でもありますので勢いめちゃくちゃあった時期でもありますね。ちなみにディスク2の方にはKREVA氏とのプロデュースユニット「顔PASSブラザーズ」の片割れであるDJ Tatsuta氏も参加しており、ロービートでファンクネスなリミックスを提供しておりディスク2のチルアウトな雰囲気に一役買ってます。

 続く4曲目は2001年に和製2stepの金字塔come againをリリースするm-flo。もちろん期待通りの2stepアレンジなのですが、このリミックスの何が凄いってLISAさんによるボーカルパート!平井堅さんとの掛け合い、サビでのコーラスなど加えたこちらも疑似コラボスタイルなのですがとにかくLISAさんの存在感が凄いのです。今もこのスタイルでリミックスやって欲しいなぁと思いました。

 2stepアレンジで話題となったシングル"KISS OF LIFE"、このリミックスアルバムでも2曲も2stepのリミックスが収録されていることから2001年当時2Stepはちょっとしたトレンドだったことがわかるかもしれません。 

 90年代の日本のクラブシーンを牽引し2000年代からはヨーロッパでのリリースが増えてくるKoutarou.A氏による超名曲"楽園"のグルーヴィーなリミックス、フィルターハウスブームから登場したデンマークのDJユニット"FILUR"がアレンジをした英語曲のオリジナル楽曲"One Love Wonerful World"と素晴らしい楽曲が続きテンション爆上がりさせられてる間にディスク1"move"sideが終わります。なんか今フィルターハウスリバイバルの機運がある気がするのでFILURの代表曲貼っておきますね。

 一転して2枚目のside:stillはまったりしたチルアウト系楽曲でまとまっています。ちょっと曲順バラバラになっちゃいますが、音楽性でまとめてご紹介します。日本のダンスホールレゲエのオリジネーター”V.I.P INTERNATIONAL"によるクールでリズミカルなリミックス(ダンスホールのリズムが原曲の歌メロを見事に生まれ変わらせています!)、美しいストリングスと機械的なベースにダブ処理がシビれるSilent Poetsによるリミックス、それぞれレゲエからの影響があるアーティストですが異なる進化を遂げたサウンドになっておりどちらも本当にカッコイイです。個人的にSilent Poetsは当時めちゃくちゃ尊敬してたのでSilent Poetsのおかげで様々なレゲエを聞くことができたと思ってます。最近ではゲーム"デスストランディング"のティーザーやエンディングで楽曲が起用されて話題になっておりました。

 クラブジャズシーンからは日本を代表するDJユニットUnited Future Organizationが2002年にリリースするアルバム「V」でも見せていた異国情緒や哀愁を感じさせるサウンドでリミックス、前回ご紹介したMondo Grosso/MG4Rにも参加していたUKのDJ パトリック・フォージのDA LATAも参加しており軽快なボッサビートのリミックスを提供。そして紹介が最後になっちゃいましたが、思わぬ伏兵。90年代後半にWunder名義でエレクトロニカを先取りしたような作風で注目を集めていたJorg FollertがWechsel Garland名義で参加しています。平井堅氏の声をギッタンギタンに切り刻んでおり、メジャー作なんだけど自由にやらせちゃってて凄いなぁとビックリしました。Wechsel Garland名義ではSilent Poets、レイハラカミなど結構日本のアーティストのリミックスを手掛けておりますが何故に平井堅!?と謎が深まりますがそーゆーところも邦楽リミックスアルバムの面白いところだったりするのです。一曲目がHex Hectorだったのでバキバキのハウス中心かと思いきや多彩なジャンルが集結した面白いリミックスアルバムになっておりました。

 では最後に今回もトラックリストだけではわからないリミキサー名や参加アーティストを以下のように追記してみました。

side:move
KISS OF LIFE(Hex Hector Remix)
メリー・ゴー・ラウンド・ハイウェイ(Dj ajapai mix)
wonderful world(KREVA remix feat. KREVA from KICK THE CAN CREW)
TABOO(a tip of M-FLO remix)additional vocal by LISA
楽園(BIRTHDAY MIX)Remixed by Dj Koutarou.A
One Love Wonderful World Produced by FILUR

side:still
LOVE OR LUST(V.I.P remix)Remixed by  Kei Horiguchi + Kang Dong for V.I.P INTERNATIONAL
TUG OF WAR(United Future Organization remix)
why(CASSETTE VISION remix)Remixeed byDJ Tatsuta
GREEN CHRISTMAS(Wechsel Garland remix)
Miracles(SILENT POETS remix)
L'Amant(DA LATA remix)

 このアルバム自体残念ながらSpotifyには無いのでシングルに収録されている楽曲をかき集めてプレイリストを作ってみました。AMAZONのリンクも張っておきますのでぜひCDで欲しいという方はお買い求めくださいませ。

 前回の邦楽リミックスアルバムについて好き放題書いてみたい①も良かったら拝読ください。では。また次回!野郎ども、港に別れを告げろ。ヨーソロー。

告知)HF Internatinal "KATSUNORI HIRAIWA"さんとのDJ向け邦楽リエディットプロジェクト"MAGIC WAYS"やっております。ご視聴&フォローよろしくお願いします!


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