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三宅唱さんに会ってきた

5月13日(月)

久々の雨でどんよりしています。
天候は気分にすごく影響しますよね、どうも神門です。

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僕は、映画が好きだ。

ジャンルに縛りはない。シネコンなどの大きなスクリーンや、ミニシアター、自宅での動画配信でも楽しむ。

そんな僕には、足繁く通う映画館がある。札幌市中央区狸小路に位置するシアターキノだ。2024年で32周年を迎える。


キノに入って目に飛び込んでくるのは、壁に記された多くの文字だ。目を凝らすと映画関係者のサインや言葉だということがわかる。キノがたくさんの人から愛されてきたことが一目でよくわかる。

僕がキノで観た映画の中で深く印象に残っている作品の中に、「ケイコ 目を澄ませて」がある。過去にnoteでも紹介したことがある。スクリーンを独り占めした荒川に架かる橋の情景は、今でもハッキリと覚えている。


そんなキノに、三宅唱さんがやってきたのだ。行かないわけがない。

映画監督 三宅唱

1984年北海道生まれ。一橋大学社会学部卒業、映画美学校フィクションコース初等科修了。主な長編映画に『ワイルドツアー』(2018)、『きみの鳥はうたえる』(18)など。最新作はNetflixオリジナルドラマ『呪怨:呪いの家』(20)。他に鈴木了二との共同監督作『物質試行58:A RETURN OF BRUNO TAUT 2016』(16)やビデオインスタレーション作品として「ワールドツアー」(18/山口情報芸術センター[YCAM]との共作)、「July 32,Sapporo Park」(19/札幌文化芸術交流センターSCARTSとの共作)などを発表している。

引用:https://longride.jp/myown3films/04_miyake.html


モノクロとカラー

今回僕が観たのは、2012年の作品「Playback」だ。

【ストーリー】
仕事の行き詰まりや妻との別居など、40歳を手前に人生の分岐点に立たされた映画俳優ハジ。だがすべてが彼にとっては、まるで他人事のようだ。彼を良く知る映画プロデューサーは再起のチャンスを与えようとするが、まともに取り合おうともしない。そんなハジが旧友に誘われ、久しぶりに故郷を訪れる道中、ある出来事が起こる。居眠りをして目覚めると、なんと大人の姿のまま制服を着て、高校時代に戻っているのだった……。

現在と過去が交錯し、反復されるその世界で、果たしてハジは再び自分の人生を取り戻せるのだろうか。

引用:http://www.playback-movie.com/intro.html

Playbackは、三宅さんが職業俳優さんと商業映画を撮ることになってから程ない作品で、113分全編モノクロで進行する。主人公は40歳の俳優ハジで、過去と現在が交錯する不思議な世界で自分自身と向き合う、という話だ。

僕は恥ずかしながら、三宅作品のうち「ケイコ」と「夜明けのすべて」しか観たことがない。どちらもフィルムによるあたたかな雰囲気がとても印象的で、僕はその世界観をとても好ましく感じていたので、モノクロだとわかった時はとても驚いた。ちなみに、僕は極力映画のあらすじや予告編は見ないようにしている。

そして、両作品とも出てくる人たちが「本当にどこかにいそう」なのだ。ケイコも、「夜明けのすべて」の藤沢さんや山添くんもどこかにいそう。いや、多分いるに違いない、というくらいのリアルさ。だから、Playbackを観るときもそんな感じだろうと構えていたので、途中まで全くファンタジー映画だと気付かなかった。

そんな感じで観ていると、「?」が多い状態で見続けてしまっていて、あまり集中できていなかった。なんでモノクロなんだ?とか、どういう伏線なんだ?とかそういうことを考えながら観てしまっていた。すごく後悔している。そんなこと考えなくてもいいのに。。。ああ、もう一回観たい。

こんな感じであっという間に113分が経過し、20分ほどのティーチインに時間は移った。観覧者からの質問に答えていくスタイルだ。色々な質問が飛び出たが、現地に来た人の特権ということでここでは割愛する。


ティーチインが終わり、サイン会が始まった。
至近距離で話せるチャンスだ。

よし、三宅さんは高校の16個上の先輩だからこれをとっかかりに、あの質問をしてみよう。

神門「三宅さんって、◯◯高校ご出身ですよね?実は僕もそこ出身でして」

三宅「そうそう、校舎が古かった時のね」

神門「あ、そうですよね!僕の時は新しかったです。たぶん16個くらい学年違います」

三宅「あ、そんなに違うんだ!」(そんなに老けて見えてたのかな)

神門「あの、三宅さんの映画ってフィルムのあたたかな雰囲気が印象的だったので、Playbackがモノクロでびっくりしました。モノクロとカラーの意味の違いってあるんですか?」

三宅「いや、意味に違いはないです。ただ、Playbackでは俳優とは何か?がテーマだったから、実際の俳優をくっきりと映したかった。だから、骨格とかがよりハッキリと映るモノクロにしたんだよ」

神門「あ、そうなんですね。カラーかモノクロかは、撮影する前から決めるもんなんですか?」

三宅「そうだね、最初から決めるね。映画で何を伝えたいのか、によって最初から決めちゃう。ただ、細かい部分はカメラマンさんが決めてて、実はケイコと夜明けもフィルムで撮ってるけど、本当はちょっと色合いとかが違うらしい、自分にはあんまり分からないレベルだけど(笑)」

こんな感じで、高校の先輩から色々と教えて頂いた。

サイン頂いちゃいました


その後、このnoteを書いてる時にPlaybackのHPを見つけて色々眺めていたら、インタビューでモノクロに関する回答をしていたので転載。

なぜカラーではなくモノクロームを選択したのでしょう?

三宅:モノクロームというのは、俳優の顔の潜在的な魅力をむき出しにするための可能性です。『Playback』の物語が俳優という存在の謎から出発した以上、まず何よりも彼らに寄り添い、彼らの力を引き出し、それを記録することが重要でした。また、カラーよりもモノクロームの方が、より純粋な仕方で「時間」そのものを意識させることができます。
 それから『Playback』には実際に死者が登場します。それもモノクロームの選択に大きく関わっています。この映画では現在の世界と20年前の世界が描かれますが、当然、当時と変わらず生きている人々もいれば、その間に亡くなった人々もいます。両者の存在を同時に描くことが重要でした。つまり必然的に喪の作業というか、死んだ人間の物語が現れます。それを強調するためにモノクロームを選択しました。


三宅映画、やっぱり好きだなぁ。

キノの壁に描かれた三宅さんのサインをたまたま発見


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こちらのnoteもぜひ!

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