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映画「春の画 SHUNGA」がすごい。

映画を大きなスクリーンと良い音響で楽しむには、やはり都市部でないと難しい。そのため、僕は札幌にいるときは、必ずといっていいほど映画を観に行く。「その場でしかできない体験」をすることが大事だ。

ということで、1/6,7に観た映画を紹介していくこととする。


1/6 「首」

北野武をリサーチしていたのも相まって、観たいなと思っていたので、観に行った。期待が大きすぎたのか、観終わった後は「まぁ、そういう解釈もできるよね」という感じ。

<あらすじ>

天下統一を掲げる織田信長は、毛利軍、武田軍、上杉軍、京都の寺社勢力と激しい戦いを繰り広げていたが、その最中、信長の家臣・荒木村重が反乱を起こし姿を消す。信長は羽柴秀吉、明智光秀ら家臣を一堂に集め、自身の跡目相続を餌に村重の捜索を命じる。秀吉の弟・秀長、軍司・黒田官兵衛の策で捕らえられた村重は光秀に引き渡されるが、光秀はなぜか村重を殺さず匿う。村重の行方が分からず苛立つ信長は、思いもよらない方向へ疑いの目を向け始める。だが、それはすべて仕組まれた罠だった。果たして黒幕は誰なのか?権力争いの行方は?史実を根底から覆す波乱の展開が、 “本能寺の変”に向かって動き出す―

Filmarksより

感想は以下。

まぁ、そういう解釈もできるよね、という感じ。
2時間半かけて、本能寺の変に至るまでの史実に対する、北野武なりの解釈を見させられただけ。

「新解釈・本能寺の変」というタイトルの方がしっくり来る。

1点、映画を観ながら考えていたのは、これは資本主義社会においても同じことが言えるだろうということだ。特に会社という組織に当てはまるように思う。

織田家は、「織田信長株式会社」の代表である織田信長に忠誠を誓い、命をも賭す覚悟の社員たち(秀吉、光秀、勝家、長秀、一益ら)は、会社(織田家)のために粉骨砕身働く。しかし、代表社長の信長は悪魔と恐れられるほどのパワハラ野郎で、安月給(領地)のために、それとの釣り合いがとれないために、謀反の企てを行い、会社組織そのものを乗っ取った。さらに、下層の社員たち(足軽たち)は、駒のように扱われる。

戦国時代における構造も、いまとあまり変わらんのだなぁ。


1/7は、初めての3作品連続鑑賞

前日の「首」が個人的にはイマイチだったため、その腹いせに3作品連続で観た。場所はシアターキノ。


1. 戦場のピアニスト

1作品目は、2002年公開の傑作「戦場のピアニスト」4Kリマスター版。

<あらすじ>

ユダヤ人のウワディスワフ・シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)はピアニストとして一目置かれる存在だったが、1939 年にドイツ軍のポーランド侵攻によって第二次大戦が勃発、家族とともにワルシャワ・ゲットーに強制的に移住させられる。自由を奪われ、常に死の恐怖に怯える毎日。やがて何十万のユダヤ人が強制収容所に移送される中、ゲットーを逃げ出すシュピルマンだったが、本当の地獄ははじまったばかりだった…。

Filmarksより

感想は以下。

ピアノを弾くことしかできない、シュピルマン。

ユダヤ人というだけで、ドイツ人から倫理もクソもへったくれもない扱いを受ける。途中からは同じような扱いを受ける同族のユダヤ人をマンションの窓から見ることになる。

何も出来ずに、哀しき眼差しでみつめる彼の顔が忘れられない。

戦争はなぜなくならないのだろうか。


2. Winter boy

2作品目は、舞台をフランスに移す。

<あらすじ>

冬のある夜、17 歳のリュカは寄宿舎からアルプスの麓にある家に連れ戻される。 父親が事故で急死したのだ。 大きな悲しみと喪失感を抱えるリュカ。 葬儀の後、はじめて訪れたパリで、兄の同居人で年上のアーティスト、リリオと出会う。 優しいリリオにリュカは心惹かれるが、彼にはリュカに知られたくない秘密があった。 そして、パリでの刺激的な日々が、リュカの心に新たな嵐を巻き起こす――。

Filmarksより

2022年、2023年と僕の親族が立て続けに死んだ。
人は簡単に死ぬ。大切な人はいつか突然、簡単にいなくなる。

感想は以下。

この映画は、少年の破壊と再生の物語。

ある日突然、父親をなくす。
それから彼は少しづつ壊れていく。

人との出会い、性を通して再生をしていく。

失ったものは戻らない。
それをどう受け容れて、どう生きていくか、それを彼は教えてくれる。

何か、鬱屈としたものを抱えている時に観ると、自然と前向きになれそうな作品だ。


3. 春の画 SHUNGA

ラストは、「春画」という江戸時代におけるエロ本が主題の映画だ。

<あらすじ>

葛飾北斎、喜多川歌麿をはじめとする江戸の名だたる浮世絵師たちが、並々ならぬ情熱を注いだ春画。彫り・摺りの高度な技術も投入され、「美」「技」において超一級の芸術と呼べる作品が数多く生み出されたが、時代が江戸から明治に変わると“わいせつ物”として警察による取り締まりの対象となり、日本文化から姿を消してしまった。性別を問わず楽しめるアートとして再評価の機運が高まったのは、つい最近のこと。2013年、ロンドン・大英博物館での世界初の大規模な春画展に大勢の人が詰めかけ、その半数以上が女性で、2015年~16年の、東京と京都での日本初の「春画展」も動員29万人を記録し、その約半数が女性だった。

いまだ知られざる部分も多い春画の深遠なる魅力にあらゆる角度から迫り、その奥深くへと観客をいざなう本作。美しい映像で映し出されるのは、北斎の有名な“蛸と海女”の絵、歌麿の「歌満くら」、鳥居清長の「袖の巻」、鈴木春信のユーモラスな「風流艶色真似ゑもん」、大名家への嫁入り道具と伝えられる華麗な肉筆巻物、ヨーロッパのコレクター秘蔵の「春画幽霊図」などなどバラエティーに富んだ傑作の数々。さらには贅を尽くした源氏物語のパロディー「正写相生源氏」(歌川国貞)の絢爛豪華な“極初摺り”も登場! 金・銀などを惜しみなく使い、超絶技巧を駆使した立体的な表現は、現代では再現不可能とまで言われている。
春画に描かれている性愛のかたちは驚くほど多彩で、必ずしも性愛だけを描くわけでもない。そこには歓喜と興奮、情熱と悲哀、嫉妬、駆け引きなど人間味あふれるドラマや、春画が「笑い絵」と称されるようにユーモアをもって描かれる「生命」そのものの魅力に引き込まれずにはいられない。また、復刻やデジタル化などのプロジェクトを紹介。没入感を味わえる春画のアニメ化も必見だ。

2023年10月13日公開の劇映画『春画先生』(主演:内野聖陽、監督:塩田明彦)と共に、映画ならではの魅惑の春画ワールドへ、ようこそ!

HPより

感想は以下。

極めて刺激的な作品。

春画は江戸時代におけるただのエロ本だと思い込んでいたが、そんなのは大間違い。

春画は、300年続く江戸時代の文化・芸術のある種の到達点なのだ。

劇中において、コペンハーゲンに住む春画研究家・コレクターが、日本と西洋のエロティック芸術の相違点を語るところが印象的だ。

「日本においては、当時の大スターたちが好んで春画を描いた。葛飾北斎、歌川国貞、喜多川歌麿などが代表だ。しかし、西洋ではそんなことは皆無だ。ここに、春画というものは日本文化・芸術において、立派な芸術ということができる」

春画をもっと知りたい。


映画は、さまざまな刺激を脳に与えてくれる。
2024年も、色々な作品を見ていきたい。

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