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6月4日(木)マーケット情報〜加熱する株式市場と各中銀対応〜

おはようございます。

昨日のNY市場は三指数とも続伸し、ダウ平均は2.05%上昇し終値は26,269.89となりました。相場全体の戻りから遅れている景気敏感セクターの金融セクターが中心に上げ幅を増加させた形となっています。昨夜発表された5月のADP雇用統計が予想値から大幅改善するなど底値を脱出した感が株価を押し上げました。

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為替と債券をみていきます。ドル円は上昇、米国債利回りも上昇しています。株式相場の調子の良さをみて、国債、円、金銀、安全資産からリスクオンに資金が流れた形です。

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(米国債利回り)

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(ドル円相場)


それでは、これまでおきた国内外のニュースを振り返ります。

まずは、日経新聞からです。

1面:中国、国家安全法施行へ準備加速 香港長官「支持」

中国政府は3日、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官を北京に呼び、香港で反中国共産党などの活動を禁じる「香港国家安全法」の施行への準備を加速すると伝達した。香港の高度な自由を保障する「一国二制度」を揺るがしかねないとして国際社会の批判を集めている同法だが、6月中の施行も視野に強行突破する構えだ。

ポイントは「関連立法の推進を加速する」と書き加えた点だ。ちょうどこの1週間で、米国は黒人暴行死事件を巡る抗議デモで混乱した。発言修正には、米国の混乱の隙を突いて同法施行を急ごうとする習指導部の思惑がにじむ。9月に香港立法会(議会)の選挙を控え、民主派の議席増を警戒して同法の制定を急ぐ狙いもありそうだ。


総合1:メルケル氏 翻意盟主の志
コロナ復興へEU共通債務を容認 財政統合へ一歩

欧州連合(EU)がコロナ復興に向けた7500億ユーロ(約90兆円)規模の基金創設を打ち出した。市場が注目するのが、巨額の資金をまかなうために初めてEU一体で実施する5千億ユーロの債券発行だ。欧州の財政統合にもつながる歴史的な一歩を踏み出した背景には、これまで豊かな国から貧しい国への財政移転につながるとかたくなに反対してきたドイツのメルケル首相の翻意がある。

メルケル氏が「異例の手段」と呼ぶ同基金は、EUが共同で借金をし、返済不要の補助金として被害の大きい加盟国に配る仕組み。独DPA通信によるとイタリアに1730億ユーロ、スペインに1400億ユーロを割り当てる一方、独は288億ユーロしか受け取れない。

EUは金融政策は共通だが、財政政策は各国が責任を担ってきた。基金創設には反対するオランダなどの同意が必要だが、実現すればEUは富の再配分という財政政策の領域に大きく踏み込む。

財政統合を強く呼びかけてきたのはマクロン仏大統領だ。2008年の金融危機やその後の欧州債務危機で苦しむ南欧をドイツなどが積極的に財政で支援しなかったことが、EUの亀裂を深め、ポピュリズムの台頭を招いたとの認識に立つ。大統領に就任した17年から「過去に学ぶ必要がある」と改革を訴えてきた。


経済:日銀、株価下支え一段落
5月のETF購入65%減、実体経済との乖離課題

日銀が金融緩和策の柱の一つである上場投資信託(ETF)の購入を減らしている。5月の購入額は前月比65%減の4220億円と約3分の1に減り、3カ月ぶりに1兆円を下回った。日経平均株価は新型コロナウイルスの感染拡大で急落した前の水準に戻りつつあり、実体経済の悪化が金融市場に跳ね返るリスクを抑え込んだ。一方で実体経済と株価の乖離(かいり)は景気の実像を見えにくくし、経済にさまざまな副作用も生みつつある。

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実体経済と株価の乖離は米国でも指摘されており、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など世界の中銀が量的緩和で資本市場を支える。ただ、主要国で中央銀行がETFを買い入れるのは日銀のみだ。日銀は2010年に開始し、買い入れ枠を増やしてきた。現在は年12兆円にのぼる。

日銀の保有するETFは約32兆円だ。このままいけば20年度中に公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を抜いて最大の保有額になる見通し。

「日銀が株式市場で存在感を高め続けるのはリスクでもある」。経済官庁の元幹部はこう指摘する。日銀は直接株式を保有していないこともあり、株主総会での議決権行使などはETFを運用する金融機関が担う。日銀のETF買い入れが増えるほど、株主による企業の経営監視機能が低下し赤字や低採算事業が温存されるといった副作用をもたらす恐れがある。

GPIFがこの数年で株式投資を増やすのに合わせて、環境や企業統治に優れた企業を優遇するESG投資に乗り出したような動きが日銀にはない。

株価の上昇は投資家が財布のひもを緩める資産効果を経済にもたらすものの、家計の金融資産は約半分が現預金で、株式を保有する割合は低い。

中銀がリスクを負ってETFを買い入れる異例の手法の恩恵を直接受ける家計は一部にとどまる。日銀のETF買い入れは格差の拡大をもたらす恐れもある。


マーケット総合1:「買い戻し」株高を演出 過熱サインでもなお上昇?

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東京株式市場で日経平均株価は3日続伸し、ここ8営業日の上昇幅は約2200円に達した。急ピッチの上げ相場を演出したのは、売り持ち高を抱えた投資家による買い戻し。空売りをしていたが思惑が外れて相場が上がり、損失覚悟の買い戻しを迫られた。売り方の買い戻しが一巡すれば株高局面は休止するとの見方があるが、相場は転換点を迎えるのだろうか。

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短期的に相場水準を測る3つの指標が3日、そろって過熱サインを示した。騰落レシオ、25日移動平均乖離(かいり)率、RSI(相対力指数)がそろって過熱を示すのは7年ぶりだ。本来なら高値警戒感が台頭する局面だが、SBI証券の鈴木英之氏は経験則上、「さらなる株高につながる可能性がある」とみる。

3指標そろい踏みはアベノミクス相場初期の13年5月以来。1999年以降ではリーマン・ショック後の09年3月など過去7回あり、7回とも営業日ベースで50日後の日経平均は上昇していたという。SMBC日興証券の吉野豊氏は「2万2500円が当面の天井とみていたが、3日に超えたことで、テクニカル面では月内に2万4000円前後まで上昇してもおかしくない」と読む。


マーケット総合2:超長期金利、上昇続く 30・40年債が1年ぶり高水準 日銀、金融機関に配慮

償還期間が10年を超える超長期国債の利回りが上昇(価格は下落)している。3日には30年債と40年債の利回りが約1年ぶりの高水準となった。経済回復を見込んだリスク選好の動きで債券売りが進み、日銀も購入を抑えているためだ。表向き日銀は利回りの「低位安定」を掲げるものの、長期化するマイナス金利や世界的な低金利環境で運用難に苦しむ金融機関への配慮が背景にある。

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上昇の背景にあるのは新型コロナで打撃を受けた世界経済の回復期待の高まりだ。1日に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した5月の製造業景況感指数は4月から改善し、景気の底入れ感が強まった。ダウ工業株30種平均や日経平均株価も約3カ月ぶりの高値をつけるなどリスク選好の動きが進み、安全資産とされる国債の売りにつながっている。

新型コロナの緊急経済対策に伴う国債の増発も影響している。政府は5月27日、第2次補正予算の財源を国債増発でまかなう計画を公表した。当初予算からの超長期債の増発額は計4.5兆円(市中発行額)と示され、需給が緩むとの思惑から金利上昇につながった。

見逃せないのは償還期間がより短い中長期債の利回りが、同じく増発を伴うにもかかわらずほとんど上昇していない点だ。足元の10年債の利回りは0.010%、5年債もマイナス0.125%と5月上旬から横ばい。超長期債を上回る計18.9兆円の増発計画だが、上昇は抑えられている。

なぜか。ヒントは日銀が5月末に公表した6月のオペ(公開市場操作)計画にある。償還期間が3年超5年以下の債券の買い入れ回数を従来の5回から6回に増やし、5年超10年以下も購入金額の下限を2000億円から2500億円にした一方、10年超の超長期債は従来水準を据え置いた。

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このため市場では、日銀は中長期債の利回り上昇を抑え込む一方、超長期債の上昇は容認するとの見方が強まった。結果、利回り曲線の傾斜が急になるスティープ化が進み、日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を導入した16年9月の利回り曲線に近づいている。


次に、Bloombergからです。

You Need to Know

Tension is in the air. The U.S. will bar Chinese airlines in retaliation for Beijing ignoring the requests of American carriers to resume flights to China that had been suspended for the pandemic. The order, in force June 16 unless President Trump acts sooner, would allow one Chinese service for each U.S. one permitted. The action could disrupt burgeoning growth in air cargo. United led a rally in airline shares on the news.

The devastating U.S. labor situation may be improving somewhat. While ADP reported that companies shed another 2.8 million jobs in May, that was just a third of the estimated pace. First-time unemployment claims probably will continue the seven-week downward trend, with economists predicting a drop to a still crushing 1.84 million from 2.12 million.


Chart of the Day

China is an ever-more important customer for Mideast oil producers scrambling for buyers in the wake of the coronavirus. The region's petro-states shipped about one in every three of their exported barrels to the Asian country last month, the biggest proportion in at least 2-1/2 years, according to Bloomberg tanker-tracking data. Even as Saudi Arabia, the world's top exporter, and other Persian Gulf nations slashed sales to the U.S. and Europe, they maintained supplies to China.

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今日発表の注目経済指標

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今日も最後まで読んでいただき有難うございました。

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