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野良デザイン#172|ペール缶の雨樋

おいしい匂いで満ちた町中華の店先。道路に面して敷地いっぱいに店舗が建てられ、エントランスの横には大きなメタルパイプが鎮座している。店内の調理場につづく換気扇から滴る油などを受ける為の雨樋として機能しているようだ。油煙が建物外壁を汚さないよう、換気扇にはフードが被せられ、そこから滴る油を誘導するよう設計されている。

その地面に至る端部には、樹脂製のペール缶が置かれており、集めた油をキャッチできるようになっている。元々セメントを保管・流通する為の容器が、屋根に落ちた雨水を集める雨樋のように活用されているのだ。

ペール缶の雨樋
セメントを保管する道具 → 調理場から出る汚水を集める道具

 

200Lのカロン缶を小型化した、20L程度の容器をペール缶と呼称するようだ。集められた油を廃棄するため、ペール缶の把手は使い勝手が良さそう。

ペール缶足元に積み上げられた石片も、どこか可愛らしい。近隣で出た建築廃材だろうか。積み木のように重ねられた石の舞台に、絶妙なバランスで乗るペール缶は、まるで曲芸師のよう。