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野良デザイン#56-60|ビールケースのプランター

こんにちは。

私の住む大阪では、気づけば国道沿いの銀杏の葉が色づき秋めいてきました。皆さんのお住まいはいかがでしょうか。

私は工業デザイナーとして働く傍ら、本来の用途を超えた道具の活用を、「野良デザイン」と名づけ研究をしています。
作り手の想定を超えた道具の活用に、生活のリアルや道具の可能性を探る試みです。

今週も興味深い野良デザインたちと出会いました。

野良デザイン#56|ビールケースのプランター

住宅地の路地裏。所狭しと並ぶ家の軒先には、各々が草花を育て、道路と庭が混ざり合った、独特な場が形成されています。

そんな陶器や樹脂で作られたプランターに混ざり、ユニークなプランターを発見しました。

居酒屋でお馴染み、ビール瓶の保管や運搬に用いるビールケースに土を蓄え、プランターとして活用しているのです。

軽量化と水捌けのためのケース周囲の開口には、プランター用の砂留め網が敷かれ、プラ板のような板材で土が漏れないように工夫されているようです。

土の水捌けも良さそう。
元々運搬用に作られたケース、軒先のちょっとしたレイアウト変更もお手のものですね。

◎水捌けの良い、網目のプランター

インスピレーション・メモ

野良デザイン#57|プランターのプランター台

先ほどのプランターから目を移すと、そのお隣にも野良デザインが。
こちらは、大ぶりな樹脂製のプランターに敷かれた土を、また別のプランターの置き場として活用しているのです。

プランターのプランター台。書いていてこんがらがってきました。

大プランターの土と小プランターの底の間には、園芸用のゴム編みが敷かれており、小プランターが土に埋もれてしまうことを防いでいます。

色や形の似たプランターの大小の組み合わせが、なんだかお茶目です。

◎プランターの中の箱庭

インスピレーション・メモ

野良デザイン#58|樽と板とブロックのベンチ

道路ギリギリまで家屋が競り出た路地を歩くと、軒先に並べられたベンチや椅子に、お店の存在を知ります。

ブルーのファサードが素敵なこちらのお店では、小ぶりな2つの樽の上に板が架けられ、2つのコンクリートブロックで重石がされています。

さながら小さな建築。
サバイバルゲームのクラフト品を彷彿としてしまいました。

扉や建具の風化具合と、ベンチの素材感がとてもマッチしています。
チェッカープレートが施された板金階段もいい感じです。

◎重石で固定する、釘のいらない構造

インスピレーション・メモ

野良デザイン#59|物干しフェンス

ゴミ捨ての際に嵌めるゴム手袋や、洗車でつかう雑巾。家の軒先では、何かと細々した道具が必要とされます。

こちらのお宅では、お隣さんとの敷地境界を明示するフェンスの網目を、軒先道具の保管場所として活用しているようです。

保管と乾燥を兼ねた合理的な野良デザインです。

◎乾かしながら保管する清掃道具

インスピレーション・メモ

野良デザイン#60|車とブロックの看板立て

話題の電気自動車。従来移動手段であった車は、人やものを乗せて走るだけでなく、夜間や有事の電源としても活用されるようになりました。

しかし、車の可能性はそれだけに留まりません。

軒先に停めたボックス車の背面を、看板立てとして活用しているのです。
年季の入った手作りのポスター看板。この車の持ち主は、熱心な政党の応援者なのでしょう。

使っていない道具や住まいのシェアサービスを筆頭に、所有物の隙間時間が多様な可能性を示す昨今。駐車中の車が広告媒体とする、興味深い野良デザインでした。

◎駐車中の車の役割

インスピレーション・メモ

今週も最後までご覧いただきありがとうございます!

日に日に冷え込んできますが、風邪に気をつけてお過ごしください。
また次の投稿でお会いしましょう!

眞木孝明