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野良デザイン#126-130|コンクリートブロックの傘立て

こんにちは!本来の用途を超えて活用される道具「野良デザイン」。
そんな路地裏に見る野良デザインの収集を通して、道具の可能性や、生活のリアルを探る試みです。

今週も沢山の野良デザインに出会うことができました。


野良デザイン#126|コンクリートブロックの傘立て

構造体をつくる建材ピース → 傘を差して保管する収納具

住宅地を歩いていると、電灯の柱に隠れるシャイな立て看板を発見。よく見るとその二本の足元はコンクリートブロックの穴に挿入されている。

そして、余った穴にはビニール傘が一本。急な雨で購入した傘が、雨上がりに不要になり廃棄したものだろうか。横断歩道の黄色い旗のように、地域の共有物として傘が利用されたら、どんな街になるだろうか。

野良デザイン#127|コンクリートブロックの看板立て

構造体をつくる建材ピース → 看板を自立させる土台

先ほどの野良デザイン(#126)と同様に、看板の足として活用されるコンクリートブロック。この看板では、さらにモルタルが流し込まれ、強固に固定され、風にも強く強化されている。

白けた木の角柱でできた看板、これから雨風日光にさらされ、どんどん街の質感に溶け込むことでしょう。

野良デザイン#128|蛇口のバケツホルダー

地中の水道管から水を引く柱 → バケツを保管する収納具

路地裏に面した戸建の庭先に、地面の水道から水を引いた屋外蛇口が一本。
洗車に使うのだろうか?その柱状の蛇口の上に蓋をするように、プラスティック性のバケツが2個重ねて保管されている。

水道とバケツ。用途するものがまとめて保管される様は、正に野良デザイン的。また、蛇口がバケツのキャップで保護されているような様も面白い。

野良デザイン#129|電柱とタイヤチューブの灰皿留め

電線を引き回す柱 + 車輪の保護具 → 灰皿を留める固定具

タバコをやらない身としては、今ではめっきり目にしなくなった屋外の公共灰皿。電線を町中に引く電柱を基点に、2台の灰皿が自転車のタイヤチューブで固定されている。

たしかに、ヤニの混ざった水が周囲に拡散したら大変。風や接触で転倒しないよう、設置者の気遣いが伺える野良デザイン。

元々、灰皿の足元をみるとボルトを打ち込むことが想定されているようだが、土地の所有権の問題か、工事手数の問題か。「転倒防止」という、想定された目的は同じでも、「ボルト固定」という想定された手段が通用しないケースというものを痛感させられる。作り手として、こうした道具の生の生態を知ることは、とても大切なことと思います。

野良デザイン#130|排水管のポスト

建物上階からの排水を流す管 → 新聞や郵送物の荷受け場所

マンション形式の養護老人ホームのエントランスで出会った野良デザイン。複数の利用者の居住区として機能する施設には、種々の新聞や郵送物が届くのでしょう。

エントランスに面した塩ビ製の排水管に、新聞の受け取り袋が3つ、ビニールテープで固定されている。たわわに実った新聞袋。
「おばあちゃんの知恵袋」を連想しました。


最後まで読んでいただきありがとうございます。次はどんな野良デザインに出会えるでしょうか?
また次の投稿でお会いしましょう!

眞木孝明