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PERFECT DAYS

パーフェクトデイズ

映画を観る前に頭に入れた情報は、役所広司さんが出る映画ってことだけ。ろくにあらすじすら把握してない、空っぽの情態で映画を観た。

映画の中で登場する人たちは、みんな、笑ったり、泣いたりしてた。
ストーリーはつらつらと流れていったけど、終始、何の事実も明確に示されなかった。
笑ってる理由も、泣いてる原因も、何も。

おれが生きてきた過程で出会った作品(ベルベットアンダーグラウンドの曲、パトリシア・ハイスミスの小説)が出てきて、静かな心の揺らぎを感じた。

映画の中で目に見えるものについて、答えはどこにも見当たらない。
誰も、何も具体的に言わないから、目に見える状況や情報から感じ取れる背景が、無限にある。

私見としては、あの映画は、映画そのものをたのしむものではなく、観た人が想像を膨らませるためのきっかけとしての存在意義とその効果を十分にもつ。
創作が好きな人にとっては、いい材料になり得るかもしれん。

ストーリーがとりとめもなく展開されるまま、明確な答えが示されないから、場面ごとのそこに描かれていない背景、コンテクストを、自分で自由に創造できる。

自分が過ごしている何気ない日常を『パーフェクトデイズ』と言えるかどうか。

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