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「今も生理の時は憂鬱ですか?」おばあちゃんに、生理の話を聞いてみた。

わたしのおばあちゃんは本当にパワフルで、70歳を過ぎてからエジプトに旅行に行って、テロで空港が封鎖される直前に帰国するなどという経験を持ち、さらに80歳目前で友人のカフェオープンを手伝いに月単位で地方に飛び立ってしまう行動力の高さを持っている。

最近とうとうリタイアしたとの報告を受けたけれど、去年まで訪問介護の仕事をしていたくらい、元気でかっこいいおばあちゃん。「体力のいる仕事は若い人に任せるけど、やっぱりおしゃべりは歳が近い人の方がいいのよね」と言って、料理や洗濯などの介護仕事をせっせとこなしていた。

わたしが学生時代(万年彼氏いない女子大生だった)の頃は、「最近(訪問)介護に行っているおじいちゃんと仲良いのよね」とさらっと言ってのけて思わず「モテテクを教えてください」と言いそうになったこともある。

他にも電車の中で自分より20歳年上の女性(90歳オーバー)と友達になって、よく女子会をしている、など、そんな類のリア充エピソードは枚挙にいとまがない。コミュ力おばけとは彼女のためにある言葉だと思う。

そんなナチュラルにかっこいいおばあちゃんに、生理のことについて聞いてみた。

最近のわたしは生理のことや、生理を取り巻く環境について勉強していて、生理をいい感じにいなす最新便利グッズや、生理に対する課題や、(自分も含めて)生理と向き合っている人の意見は、それなりに目にしてきた。だけど、かつて生理と向き合ってきた、わたしのおばあちゃんは、どんなふうにその期間を過ごしてきたのだろう???という気持ちがふつふつと沸いてきて、とうとう聞いてみた、LINEで(わたしの父は未だにガラケーだけど、おばあちゃんはスマホでLINEを使いこなしている)。

そもそものきっかけは、8月31日にテレ東で放映されていた生理をテーマとした特番「生理CAMP」を見た、とわたしに連絡が入ったことから。

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ナプキンができる前は脱脂綿とガーゼで対処していた…という話はなんとなく本やネットで読んでいたけれど、実際に脱脂綿で生理を乗り越えてきたという話を聞くと、今の自分では考えられない。どっちかというとタンポンに近い…のか…?(アプリケーターなんてものはもちろんないだろうが)

おばあちゃんの実家は割と田舎の方にあったので、ナプキンが販売されるようになってからも近くの薬局では扱ってなくて、しばらくは脱脂綿だったらしい。ナプキンが日本で販売されだしたのは1961年。おばあちゃんは20代中盤。

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「今も生理の時は憂鬱ですか?」

多分おばあちゃんからしたら変哲も無い問いかけなんだろうけど、学校で男女分けられて勉強した話や、友達と生理の話を全然できなかったことや、そして脱脂綿の話を聞いた後に、「うん! 今も生理の時ははまじで憂鬱!」と屈託無く答えることに少し躊躇した。もちろんだからと言って「いや、今は便利になったからむしろ生理が楽しみ」なんて1mmも思わないのだけど。

「昔と比較して便利だから辛くない!」「いやいや、初経の時期も早まってるし、生理期間は昔より長いから今の方が辛い!」と何かと比較して辛さを推し量ることの無意味さを、わたしは知っている。これは本当に争いしか生まないよね? その先に見えるのは疲弊した未来だけ。男は女より辛いとか女は男より辛いとかの問いと同じ類のものだね。とにかく主語が大きい言葉には、注意深く接するべきだとわたしは思っている。

おばあちゃんの問いに立ち戻って、ひとつだけ確信を持って答えられることがあった。それは「生理について安心して語る、わかりあう」ことを望む人が、それを叶えられるような環境になりつつあるということ。おばあちゃんが生きていた時代から(それよりさらに昔から)生理に対する課題や、いろんな思いは表に出していないだけでたくさんあって、向き合ってきた人たちがたくさんいた。

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だから、「うん! 今も生理の時ははまじで憂鬱! だけど、(まず生理グッズが超良くなっているというのは大前提としてあるんだけど)困ることは少ないし、一人で悩むことは少ないかもしれない。」という回答をした。全然エモい回答では無いけれど、これがわたしの答え。断っておくと、わたしは生理が軽いわけでは無いけれど、重いわけでは決してない、量も多分平均。だから毎月憂鬱ではあるけれど、苦しいわけではないので、苦しい気持ちの人に寄り添いたい気持ちはあるけれど、共感することはできない。日和見な感想と言われればそれまでかもしれない。

だけど、この先そういうことも含めて、理解しあえる場(これはオフラインやオンラインみたいな場所の議論だけでなく、そういう雰囲気づくり、も指す。)を増やしたいと思う。語りたくない、隠しておきたい、という気持ちももちろんわかるけど、そういう人が、「ちょっとだけしゃべりたいかも」という気持ちになったら気軽に受け入れられる場を。逆に、今までは生理について語っていたけれど、もう語る必要がなくなった人が静かに去れる場所を。

普段、どうしても目の前の仕事に忙殺されがちだけど、おばあちゃんとちょっと会話しただけで、こんなふうにこれからのことを考えるきっかけをもらえる。わたしは以降、定期的におばあちゃんとLINEすることを習慣にすることに決めた。また、ユニークな会話があればnoteに書きたい。


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