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昨年のゴールデンウィークに三茶から江ノ島まで歩いたはなしと、これからのこと。

人間らしさみたいな話がありますけど、それのひとつに、無意味な行動を「特に理由もなく」行うということがあるんじゃないかと思うんです。

今回は、昨年のゴールデンウィーク行った人間らしい活動について、当時のインスタストーリーと共に振っていきたいと思います。悲しいことに冗長です。サムネ画像はわたしの近影。三浦半島で撮影されたものです。江ノ島関係ないですね。

歩きだすまでのはなし。

やったこととしては、タイトルの通りですが、わたしはとにかく長距離(長時間)歩き続けるに対するハードルが著しく低いんです、昔から。

遡ること○年前、中学時代の卒業遠足は、(普通の公立中学校なのに)なぜか相模大野から江ノ島まで徒歩で行くというものでした。約35kmの道のりを4人くらいのグループに分かれて歩き切る、鬼の行事でした。しかも2月、公立高校の合格発表の前々日くらい。ゴールした後に食べたあの豚汁よりおいしい豚汁に、わたしはまだ出会っていない。

そんな江ノ島遠足は、2011年に中止になりました。この話は別の機会に。

それからまた数年後の19歳のわたし、(なんやかんやあって)深夜にひとりで越谷から新宿まで歩いたこともあります。距離にすると約27km。江ノ島遠足を超えてはいない。この時は、大学も辞めたばかりで、ニートで、実家にも戻り辛くて掃き溜めの時期。この話もまたいつか。

それ以外にも飲んで終電がなくなったからという理由で、10〜20kmの距離を歩いて帰ることはよくあって、「深夜に終電をなくして歩いて帰っている」というシチュエーションに、勝手に満足していたわけです。みんながタクシーに乗って帰る中、歩いているわたしに酔っていました。恥ずかしいですね。

そんな日常を過ごす中で、ただ意味もなく、長距離を歩いてみたら面白いのではないか、という思いがふともたげてきたんですよね。ただのお馬鹿発想であることは間違い無いですが、思い立った当時は、それがとても崇高な遊びに思えて自分が偉くなった気分でした。終電がなくて、とか遠足で、とかじゃなくて、本当に目的もなく、いや、「目指す場所に到着すること」だけを目的にして歩いてみるのって意味なくて最高じゃね?と。

社会人3年目のゴールデンウィークなのに、そんな無意味なことしかできないわたしを、あざ笑ってくれとすら思いました。

当時は、三軒茶屋周辺に住んでいたので、30〜50kmを目安に目的地を考えたところ、江ノ島が浮上。Google Mapには「44km、約9時間」と示されて、「ほう、まあ歩いてみようじゃないの」となったわけです。12年前に友人たちと仲良く向かった江ノ島に、今度はひとりで向かう。「エモい」の最高峰かよ。わーい。

夕方から歩き出した。

時はゴールデンウィーク。特に予定のなかったその日、朝早く出発しようと思ってはいたものの、ダラダラしすぎて時計はすでに15時を少し過ぎたあたり。そろそろ出るかと重い腰をあげて、適当な格好に着替えて出発。この時点で16時。Google Mapによれば、到着時刻は23時半。目的はないものの、せっかく江ノ島に行くなら海鮮丼でも…などという淡い期待は歩き出して5分で打ち砕かれることになる。「目的地で楽しむとか、最初の本意と異なるのでは〜??★★★」とほくそ笑まれた気分です。出鼻をくじかれた形になりますが、焦らず歩みを進めます。

旅のはじまり、記念すべき1枚目のストーリーがこちら。「当初の目的より〜」とありますが、最初は仙台まで歩こうとしていたんですよね。会社の先輩に「わたしはゴールデンウィークに、仙台まで歩いてやりますよ」などと豪語したものの、そこまでの度胸はありませんでした。へへ。

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横浜の広さを肌で感じた。

ほぼ駒沢大学駅の自宅から(三軒茶屋と偽ってすみません。だって、三軒茶屋の方がかっこよかったんだもの。)Google先生の案内に従って歩き進めると、自由が丘〜田園調布〜多摩川〜武蔵小杉まではさくさく進んで、「多摩川越え〜〜」などとインスタにあげたりしていた。あっという間に神奈川。一瞬川崎に入りましたが、基本横浜を歩いていましたね。

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というか横浜、でかい。わたしは、横浜を、いったい何時間歩いていたんだろう。横浜を嫌いになるかと思った。5時間以上横浜を歩いていました。家系ラーメンに対する殺意。

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走った方が楽だった。

20時すぎたあたりから足が段々と痛くなってくるわけですね、主に前脛骨筋と、足底が。前脛骨筋というのはスネです。ちょっとかっこよく言ってみたくなりました。すみません。こうなるともう、走った方がずっと楽。小走りでのろのろと足を前に運びはじめました。実はこう見えて小学5年生〜大学1年生まで陸上競技部で長距離をやっていたので、体力には自信があります。

とにかく走りはじめたわけですが、雨も降ってきたんですよね。よりによって高速道路脇を走行中に。ちなみにわたしは運転免許を持っていますが、高速道路を走ったことはありません。理由は怖いから。

信じていた人から裏切られた。

そんな小雨降る中、もくもくと歩みを進めていたわけですが、Google Mapがなんと道無き道を案内してきました。もとは道だったのかわかりませんが、謎のゴミ処理場に連れてこられて5kmほど無駄に走ってしまいました。「おいこら」という暴言が頭をよぎりますが、「わたしを全面的に信じたあなたが悪いのよ」と言わんばかりの無機質なスマホを見て、世の無情さを嘆きました。もっと自分の力で頑張ろうと思いました。

嗅覚が江ノ島への到着を感じ取った。

もはや無表情で、足の痛みをこらえながら黙々と(途中で買った傘を持ちながら)走っていると、どこからともなく磯の香りがしてくるわけです。「これは…江ノ島…?」あたりは真っ暗で、江ノ島に近づいているか、視覚では捉えることができない。街灯もあまりないし、おみやげ屋さんや定食屋さんは閉まっているしで、わたしを歓迎していないことは明らか。でも磯の香りだけは迎え入れてくれた。ありがとう。別に迎え入れているつもりはないかもしれないけれども。

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駅には雨が降っていたことも影響してか、本当に誰もいなかった。犬の散歩している人もいない。

到着して、すぐに終電に乗る羽目になった。

Google Mapが変な道を示してくるなどのハプニングはありつつ、途中から走ったおかげか、江ノ島に到着した時刻は23時半。ただ、都内に向かう終電は終了しており、この日は駒沢大学の自宅に変えることは諦めて、相模大野の実家に帰ることにした。久しぶりの帰省。出発前にリスクヘッジとして母親にも連絡済み。

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LINEのメッセージの向こうに怪訝そうな母親の顔が浮かぶ。

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マラソンってすごい。さて、到着して達成感を味わう暇なく終電に乗車。ゴールデンウィークでも終電は超空いているんですね。

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得たものはなんだったのか。

特になし。

次の日の朝のはなし。

次の日は、友人たちとネモフィラを見に行く予定だったので、朝早起きして実家を後にするわけですが、体全身が肉離れを起こしているような状況で、非常に辛く、苦行でした。上項にて、特に得たものはなしと記載しましたが、強いていうならば、痛み。

わたしは、歩き続ける。

最後にちょっとだけ真面目な話。「意味もなく歩く」という平常時なら誰にも迷惑をかけないであろう行為が、いまはできなくなっている。非常事態宣言も出されて、「不要」な行動が制限されている。さまざまな職業の方々が、経済的に困窮していることもそうですが、人間が人間であろうとすることができなくなっているんだなと。わたしは家でダラダラすることが大好きだけど、家に「いなければならない」のは嫌だ。でもいまはそうするしかないわけで、閉塞感とか陰鬱な空気感に押され気味。おうちでできるアクティビティを充実させたり、いましかできないことを楽しもう、みたいな空気はもちろん大切にしたいけど、個人的には「本当はこれをやりたいんだぞ!!!」とか「いや、コロナふざけんなよ!」といった怒りも吐き出していきたいです。あと「コロナが収束したらやりたいことリスト」とか「来年のお花見で作りたいサンドイッチの具アンケート」みたいな記事も書きたい。

そして、人間が人間らしくあるためにとても重要な役割を果たしている、映画や音楽などのカルチャーに関わるすべての人を応援したい。

歩くの概念はさまざまだと思うので、いまわたしは自分の部屋で、まだ見えないゴールに向かって歩き続けます。

蛇足

あ、上の話を5秒にまとめたものが下記のリンクです。よろしく★


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