ふるい

いつか忘れるから書いておこう。 出会った人たち、出来事、日々の思いの丈などなど。

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最近の記事

子供ねえ

何だか最近生理が変だ。 35歳になったからだろうか。その辺りから身体は変わりだすし、疲れやすくなるし、あちこち痛む、なんて色々なことを耳にするけど。正直に言って、まだその変化は目に見えて分かるものではない。だけど強いて変わったことを挙げれば、生理が変なのだ。 ここ1年ずっと頭の片隅で考えている。 私って子供を持つことがあるのかな… いよいよの瀬戸際になり、高齢出産だと言われる歳になり、考える時間が増えた。 それでも、欲しいとは思わないのだ。 理由なんかなくて、温かい家庭

    • 大人ってなんだよ

      もう駄目かもしれないな、と思う。30代中盤に差し掛かり、何もかもが上手くいかなくなる。今までだって、何か上手くいったことなんてないけど。今回ばかりは程度が違う。上手くいかない人生を、一緒に笑い飛ばしてくれた友達とも、上手くいかなくなってしまいそうだ。そんなことを考えながら、彼女はお酒を飲む。最近は、もっぱら酒に頼るようになっている。誰かと喋る時なんて、これがなくては何も話が出てこない。いつからそうなってしまったのか、アルコール中毒になる人の気持ちはこんなだろうか、等とぼんやり

      • 自暴自棄

        駅で体育座りして頭を突っ伏せ、待っている。深夜1時前。終電ギリギリの時間に彼を呼び寄せたことを、半分面倒だと思いながら、酔っ払いの無理な誘いに乗ってくれたことへの申し訳なさが勝ってしまった。来る途中、自宅アパート階段を慌てて降りた際に負った、膝の擦り傷から血が滲んでいる。32歳にもなって、何をしているんだと自分に呆れる。若者が「大丈夫ですか?」と声を掛けてくれるが、顔を上げると心配する振りをしながら、すすーっと後ろに下がり去っていく。じゃあ声掛けんなよ、と心の中で毒突きながら

        • 無音

          私は無音が好きなのだと気付いたのは、人と一緒に暮らすようになってからだ。確かに音楽やラジオが好きで、通勤等の移動時は、ほとんど欠かさず聞いている。 でも。昔から、何も聞きたくない時がある。その時はただ電車内でぼんやりしたり、スマホを見ている人たちを眺めたりする。気力がないというよりは、体の中に、自ら選んだ音を入れたくないという感覚、とでも言おうか。 彼と一緒に暮らし始めて、音楽の趣味が合う人なのに、彼の周りから聞こえる様々な音が、ものすごくうるさく感じるようになった。彼はと

        子供ねえ

          堂々巡り

          私には、何もない。 君が持ってるものを、 私も欲しい。 本当のところ、何でもいい。 ひとつ、あれば楽になるのか。 私には、何もない。 何もないのは悪なのか。 世界を持たねばだめなのか。 世界を持つと、 今より何が、を教えて欲しい。 私には、何もない。 生活するだけ、それだけ。 仕事があって、 家がある。 何も生み出せないけれど。 作る人への羨みは、 私をひどく落ち込ませる。 いつか答えが出るだろか。 それともこのままなのだろか。 何かを得たりするだろか。 分かること。

          堂々巡り

          私の結婚を書き殴る。

          やっぱりな。 私の恋がこんなに上手くいくわけないと思ったんだ、と思い俯く。リビングでギターを弾きながら待つ彼に、料理を作りながら苛立っている。この気持ちを、料理を手伝ってくれない彼のせいにしながら、それだけではないことも分かっている。先日母親と口論になったこと、上手くいかない仕事、上手くやれない自分。その全てが重なり、それを誰に伝えても仕方がないことも分かっているのに、酔った勢いで全てを曝け出した自分の愚かさに、打ちのめされるような気持ちだった。そうして堪えきれず彼に見つから

          私の結婚を書き殴る。

          コンプレックス

          かごめは、駅のホームでしんに袖を引っ張られて泣きそうになっている。なぜ涙ぐんでいるのか自分でもよく分からないが、マスクをしていて良かったと、すぐに気を取り直す。 「じゃあまた日曜に。」 そう言って、しんとは反対方向の電車に乗り込む。危なかった。かごめには、意味の分からないところで感情が暴れだす習性がある。これを自覚して自制できるようになったのはつい最近のことだ。でもふとした時にこうやってぶり返してしまうのだから、もう一生直らないのかもしれない。進みだす電車から窓の外を見る

          コンプレックス

          嫌な癖

          いつからだったか。 彼女は酔っ払うと寂しくなり、家にまっすぐ帰れなくなった。真っ先に浮かんだ恋人は、今日は会えない。すると会えるであろう男の顔が浮かび、すかさず連絡をしている。彼女はこういう時は何も考えていないフリをしている。私は酔っ払っているんだ、と自分に言い聞かせているみたいで、見ていて痛々しい。案の定すぐに返信が来て、電車に飛び乗っている。途中で思い悩んでいる様子もないことはなかったが、本当に酔いが回って判断力は鈍っているようだ。 最寄駅に着くと、酒を買ってから家に向

          最高の別れ

          「こんばんは。いかがお過ごしですか。」 またか、と思う。今度は半年振りになるだろうか。いや、もっとだな。 「飲みに寄っても大丈夫ですか?だめなら全然大丈夫です。」 逃げ道を作っているのは私のためでなく、自分のためなのだろう。決断をいつも人任せにして、責任を負いたくない彼らしさが文面から滲み出ている。それなのに私は彼に弱い。ふと浮かんだ恋人の顔をなかったことにして返信を打つ。 「こちらは大丈夫だよー。」 いつも応じてしまうのだが、人との縁なんていつどうなるか分からない

          最高の別れ

          5年前のもやもや

          「結局さあ、男の傷は男でしか埋めらんないんだよ。」 すごいトレンディな言い方でださいなーと思いながら、彼女を見つめている。こういう言葉遣いと考え方が私は嫌いだ。思えばこの頃、言葉尻は違えど、同じようなことを色んな人に言われていた。 「まあいずれいい人と出会えるよ。」 「普通に結婚して欲しいと思ってるんだよ、〇〇には。」 「今は終わったばっかりだから1人でいいとか言えるだけだよ。」 は?何を言ってるんだろうと、何か言われる度に思っていた。違和感も感じていた。この結婚と

          5年前のもやもや

          縁だったと思う話

          まだまだ寒い日が続く中ではあるが、春を感じる風が吹いた。同じ気温11度でも、冬のそれと春のそれは全く違う空気感を放つ。春が近付くと、雨が降ることも多くなる。 春と雨で思い出すのは、様々な入学式の日は全て雨だったということだ。南国で生まれ育った私にとって、大学入学のために上京した春は、とても寒いものだった。更にこの雨だ。また雨か、とどんよりした曇り空を見上げている。ホームページで見ていた大学越しに見える青空は何だったのだろう。 初めての一人暮らしが始まることに心細さを覚えな

          縁だったと思う話

          コミュニケーション

          「友達の〇〇が上場企業に転職してさ〜〜」 また始まったな、と思う。彼女はよく僕の知らない人の話をする。知らない人の仕事の話、恋愛の話、何気なく言った一言から、性の不一致の話まで。どう聞いて良いものか分からなくなる内容ばかりだ。優しく聞いているフリをしているが、実はほとんど頭に入っていない。というよりは、耳にも入れていない。そうでなくては付き合ってられないのだ。彼女のことが嫌いなわけではないが、こういう時はうんざりしてしまう。知らない奴の話なんかもう聞きたくもないわ!とでも言

          コミュニケーション

          コロナ渦とか言いたくなかったけど。

          何で泣いてるんだろ。そう思いながらも、何やら喋って涙が止まらない。悔しいような、まだそんなこと言ってる自分が情けないやら、何の感情なのかが分からない。人気のない駅のホームで友人と2人騒ぎながら、友人は困っている気もする。でも酔っ払っているから止まらない。結局色んなコンプレックスを全て誰かのせいにしているだけで、その考えを打ち消すように泣き叫んでいることを、本当は分かっている。情けなくてださい。 2020年、世の中は変わった。日々の暮らしが、仕事の仕方が、人との距離感が。他人

          コロナ渦とか言いたくなかったけど。

          充実とは。

          温暖化が進むここ最近では珍しく、寒い日々が続いているなとふと思う。狭いアパートの窓を開けると、明らかに空気が冷たくなっているのを感じる。最近は星が綺麗に見えるよと言われたことから、夜空を観察しようとした気持ちはすぐに折れ、窓を閉める。 こんな冬の時期に、割と満たされている状態なのは久し振りのことだ。しかし途端に違和感を感じる。いつかTwitterで見かけた、誰かが言った「俺が簡単に幸せになれると思うなよ。」という言葉がしっくりハマった。 あ、そうだよな。いつも隣り合わせにあ

          充実とは。

          当たり前に生活の一部になるということ。

          え?折れてる…? 眠れないでいる。まさかネックが折れるなんて。初めての出来事に、まだ半信半疑だ。酔って知らないうちに倒してしまったギター。自業自得ではあるが、今まで倒して折れたことはなかったのに。ショックが大きすぎる。 このギターを父親からもらったのは8年前。 人生の全てが上手くいかず、仕事から帰ってきてはライブDVDを食い入るように観ていた日々だった。観ている間は全てのことを忘れられる気がした。というか実際にそうだった。音楽にハマる時なんて、きっとそういう局面なのだろう。

          当たり前に生活の一部になるということ。

          お兄ちゃんてこんな人だったっけ。

          物心ついた時から、当たり前に家族として存在する人。 だけど仲が良かった記憶はほとんどない。それが私にとってのお兄ちゃんだ。ほんの少し記憶しているのは、小さい頃にお風呂場でビー玉を転がして遊んだりとか。小学生の頃はストリートファイターの相手役にされてぼこぼこにされたとか。覚えているけれど、もうその頃からなぜか既に怖かった。 絶対に逆らえない感。 その明確な理由が何かあったのか、それすら思い出せない。思春期に入ってそれは加速し、漫画の貸し借りさえ機嫌の良い時を見計らって声をかける

          お兄ちゃんてこんな人だったっけ。