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仏教の知恵で5Sを習慣化:成長する効率化2.0

初めに:生産性向上への一歩

私たちの日常はやらなくてはいけないことであふれています。
それらを効率的に整理し、生産性を向上させるための方法を探求するのがこの記事の目的です。
一般的に見れば、片付けや整理は単なる日常の作業と見られがちですが、これらのプロセスを深く考えることで、仕事や日常生活の質を大いに向上させることができます。

物の整理から時間の管理、さらには人々との協働まで、全体を通じて効率と価値の創造を追求することが重要だと感じています。この記事を通して、読者の方々にも効率的な整理と生産性の向上の楽しみを感じていただけることを願っているます。さあ、早速、具体的な方法論と実践までの道のりに入っていきましょう。準備はいいですか?

1章:5S活動の目的は習慣化である

5S活動という言葉を聞いたことはありますか?
工場で働いている方にはなじみ深い言葉かもしれません。しかしなかなか奥が深く、理解は難しいものです。初めて聞いた方も一緒に覚えてみてください。
5S活動とは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の5つ言葉の頭文字アルファベットで拾ったものです。名付け方は無理やり感がある言葉ですが、この考え方は個人や組織の効率と生産性を高める道となります。これは真理であり、原理原則です。

整理とは必要なものと必要でないものを分ける作業であり、不要なものを捨てる勇気と判断力が求められます。遺品整理という言葉は非常にわかりやすいと思います。想像してみてください。

整頓は、必要なものを適切に配置し、並べて表示するプロセスです。これによって、物の位置が一目でわかり、作業の流れがスムーズになります。
元に戻らない仕組みも考えましょう。

清掃は、単に掃除するだけではありません。定期的なメンテナンスです。機器や設備の健全な状態を保つ役割があります。改善するところに気が付くのもこのプロセスです。

清潔は、清掃で得られた綺麗な状態を維持する努力を意味します。これは、日々の小さな気配りと粘り強い努力に支えられるものでしょう。

躾(しつけ)は、上記の4Sが当たり前になっていて、習慣化されている状態を指します。これらの習慣は、個人や組織の文化を形成し、持続的な成長への基盤となります。

悪しき習慣を断ち、良い習慣を作り、心を穏やかな状態に保つ

という教えが仏教にあります。これが修行です。良い行動が良い結果を作り、悪い行動が悪い結果をもたらす。
5S活動のはこの良い習慣を作るプロセスです。無駄や混乱を排除し、調和と秩序を生み出し、穏やかな心を手に入れる道と言えるでしょう。

この章のまとめ

5Sは整理・整頓・清掃・清潔・躾という言葉からなる
単なる整理整頓の技法ではなく、深い哲学と倫理に基づく考え方です。
整理・整頓・清掃・清潔・躾が一体となり、効率的で価値のある環境を創り上げます。私たちの日常生活においても、精神的な成長と豊かな人生につながると思います。

2章:2S(整理整頓)から始める。

習慣化がゴールです。難しいことは考えない。

1. 2Sだけで充分

5Sの活動の中でも、特に整理(Seiri)と整頓(Seiton)の2Sに焦点を当てることが、多くの場合において効果的なスタートとなります。
習慣化することがゴールであることを思い出してください。難しいことは考える必要はありません。始めることと継続が大切なのです。

整理と整頓、この2S活動だけに意識を集中することで、個人や少人数のチームは、最初の段階で大きな効果を実感することができます。必要なものと不必要なものを分け、それぞれの物に適切な処分や置き場所を与えるだけで、作業の効率が大きく向上します。これを感じることが習慣化の一歩です。

2. 小さな場所から始める重要性

個人の場所や少人数で使用している場所から始めることで、関係者により効果を実感してもらい、維持していく意識が芽生えます。これは、組織全体の文化を変える第一歩となり得るのです。

3. 実際に行って初めて理解する

この活動は、本で読んだり知識を入れたりするだけでは十分に理解することが難しいものです。実際に行ったときに初めて、その意味と効果が体感できることが多いのです。この実践による理解は、次のステップへの自然な橋渡しとなります。
5S活動の大切さは子供でも簡単に理解することができるでしょう。
しかし、実践することは大人や老人でも難しい。

4. 捨てる壁の心構え

次の整理のプロセスである「捨てる」という壁は、感情的にも非常に厳しいものがあります。このため、心構えが重要でです。

この章のまとめ

2S活動は、5Sの中でも初めの一歩として特に重要なプロセスであり、整理・整頓の力で個人や組織の効率と価値を向上させる道となります。この手法は、単なる整理整頓ではなく、人々の考え方と行動を変える深い意味を持っています。今日から、あなたの周りの場所から始めてみるのはいかがでしょうか。

3章:断捨離 - 執着からの解放、整理の心と技

2S活動の入り口である整理は、単に物を捨てること以上の深い意味を持ちます。それは、物理的な整理だけでなく、心の整理でもあるのです。遺品整理のように、心を整理するプロセスと同時に行うことで、真の解放を感じられるのです。

1. 執着から解放される整理

整理は、物の執着から解放されるというプロセスでもあります。持っている物に囚われず、必要なものだけを持つことで、心の健康と快適な生活が築かれます。

「整理の原則は仏教の無執着の教えと似ています。無執着は、不要な物への執着を手放すこと、これは5S活動の整理の段階で不要な物を捨てる勇気と判断力と共通しています」

2. 整理のポイント - 全部出してチェック

整理の際には、棚や箱、引き出しの中身を全部出し、1つずつ必要か必要じゃないかをチェックすることが重要です。

  • よく使うもの:これは保持する。

  • 要らないもの:これは捨てる。

  • 悩むもの:悩んでいるもの用の場所を作り、後で再考する。

この3つに分類して、最初のもの以外はほぼ不要でしょう。このプロセスを通じて、必要なものだけに焦点を当てることができます。

捨てきれないときは知足という言葉を考えてみてください。
足るを知る。自分が満たされていることを知るという意味です。
下に参考の説明を書いておきます。


知足(ちそく)は、一般に「満足すること」や「欲を抑えること」として理解されることが多いです。仏教の教えでは、知足は心の平和と幸福の重要な要素とされています。
知足の原則は、自分が持っているものに対して感謝し、追い求める欲望を抑えることに重点を置いています。現代社会では、常にもっと良いもの、もっと多くのものを求める傾向がありますが、知足の観点からは、そのような無限の欲望は結局満足感をもたらさないとされています。
逆に、自分がすでに持っているものに感謝し、それで満足する心持ちを育むことで、心の平和と深い満足感が得られるというのが知足の教えです。この心構えは、物質的な豊かさだけでなく、人間関係や人生全般に対する態度にも反映される重要な哲学です。
知足は単に「欲しがらないこと」ではなく、持っているものに対する真の価値の理解と感謝の心から生じる満足感です。このため、知足は心の健康と幸福感を高める効果があると広く認識されています。

3. 感謝の気持ちで捨てる

捨てる際には、物に対する感謝の気持ちを持って捨てましょう。使ってくれた物への感謝は、整理のプロセスを心地よく、ポジティブにするのです。

4. 赤札作戦

どうしても捨てるのが難しい場合は、「赤札作戦」を考えてみましょう。これは、工場などで行われる手法で日常の断捨離の新しい手法となるでしょう。

赤札作戦

  1. 赤札の準備: 未使用のアイテムに開始日を記載した赤札を付ける。

  2. 使用後の処理: アイテムが使用されたら赤札をはがす。

  3. 保管と評価: 一定期間後、赤札が残っているアイテムを評価する。
    一年使わなかったら、ほぼ使わないですね。

  4. 処分または回復: 必要なものは戻し、不要なものは処分する。

  5. 定期見直し: 無駄削減の継続のため、定期的に見直すことが大切です。

赤札作戦の効果

無駄の削減: 不要なアイテムの削減により、スペースの有効活用とコスト削減が図れます。
業務効率の向上: 不要な物が減少することで、作業効率の向上が期待できます。
安全性の強化: 不要なアイテムがなくなることで、作業場所の床置きなどがなくなり、安全性が高まります。

この章のまとめ

断捨離は、物理的な整理だけでなく心の整理でもあります。執着から解放され、本当に必要なものだけに囲まれた生活は、人生を豊かにする素晴らしい道となるでしょう。

補足:捨てることへの罪悪感 - 親切の裏に隠れた心情

人々は、物を捨てることに罪悪感を感じることがよくあります。その罪悪感から、人に物をあげることを選びますが、その裏には深い心理が隠れています。

人にあげる行動の背後

親切の裏の罪悪感:物を人にあげることは親切に見えますが、実は自分の罪悪感を人に押し付けているかもしれません。
捨てる責任の転嫁:人に物をあげる行動は、自分では捨てられないという責任を人にお願いする行為とも言えます。

まとめ

物を捨てるという行為は罪悪感を伴うことがありますが、それを理解し、自分の心の中でどう捉えるかを意識することで、捨てる行為自体をより健全に、より建設的に進められるようになるかもしれませんね。

第5章:整頓の前に工場の考え方を考察

ここでは少し工場での考え方を視点として考察していきます。
工場は基本的にムダを徹底的に排除して効率的に誰でも同じクオリティの仕事を安全できるように目指してデザインしていくものです。

この章では工場での基本的な効率の考え方を解説します。ちょっとややこしそうな単語が出てきますが、すごく簡単なので安心してください。工場での物の置く場所は効率という観点から見た場合これらの動線と頻度間接工数・直接工数の2つを考慮して設計します。

1.動線とは

人が動く距離や経路を指します。作業場所と道具の位置が離れているとこの距離が伸びていきます。また一日に何回取りに行くかを計算するとこの作業にどれだけ人が歩いているかがわかります。台所の流し場とと包丁の収納場所が離れていた場合、動線が悪いといいます。さらには足元や通路に物が置きっぱなしで迂回して取りに行くとさらに動線が悪くなります。

2.間接工数と直接工数とは

これはその作業が仕事を進めるのに直接貢献しているか、間接的に貢献しているかという考え方です。時間の長さを計ってデータを取ったりします。例えばジャガイモを切るという作業はカレーを作る上で仕事が進むので直接工数です。しかし包丁を持ってくるとか洗って片づけることは間接工数です。包丁を研ぐことも大切なんですが間接工数です。間接工数は現状ではやる必要があるが、価値を直接生み出さない作業の時間です。なるべく減らしたい作業を指します。

いつも物でいっぱいで、作業する前に作業できる場所を作ってから仕事をするのが当たり前です。というような間接工数が多い工場は効率も、コストも品質も悪いので質が悪い高い製品ができてしまいます。
こういう工場では5S活動のやりがいがありますね。

第6章:整頓の際の重要ポイント - 使いやすさと効率化のバランス

前の章で出てきた単語覚えていますか?これらを軸に考えると下のような考え方で整頓ができます。

1. 頻度に応じた配置

 毎日触るもの:すぐそばに置きます。
1週間に1回しか触らないもの:少し距離を置きます。
月に1回も触らないもの:この場所に置くべきでない可能性があります。持つ価値を再評価しましょう。

2. 動線の短縮
 よく使うものが手元に
:動線が短くなり、時間の節約につながります。

3. 置き場所の明確化

しっかりと置き場所を決める:物の置き場所を明確にし、表示すれば維持しやすくなります。

4. 付加価値と直接工数・間接工数

 直接工数と間接工数:価値を生み出さない時間(移動の時間、探す時間など)を間接工数として、極限まで減らすことが業務効率化において非常に重要な考え方です。
5S活動ではこの移動と探す時間をカットすることがですます。

まとめ

整頓の際のポイントは、頻度や価値に応じて物の配置を考え、間接工数を極限まで減らすこと。これにより、業務効率化だけでなく、私生活でも便利な生活が実現できますね。

第7章:分類の仕方 - グループ分けとデザイン

分類の仕方は、頭を悩ますところでもあり、楽しさでもありますね。効率的に物をまとめ、使用する際の利便性を高めることが目的なのだけど、個人や組織のニーズに合わせて柔軟に設計する必要があります。

1. グループ分けの基準

 例として、日本茶と茶葉、コーヒー豆はどう分けるか考えてみましょう

どのようなグループにまとめるか

食器グループ、茶葉原料グループにわけるケース
ティーポット、コーヒーカップなどを食器として分類し、コーヒー豆と日本茶の茶葉を一緒にまとめることもあるかもしれません。

セットとしてまとめるケース:コーヒーのセット、日本茶のセット、紅茶のセットなどとしてまとめる方法もあるでしょう。

2. 使用頻度と片付ける頻度

  • 効率的な配置:どういった分類が使う頻度や片付ける頻度に合っているかを具体的に考えるのが重要です。買い出しに行くときのチェックを考えると茶葉グループで分類しておけば、買い足すものを探す時に効率的ですね。

3. 分類のデザイン

  • 答えは一つではない:これはデザインの問題でもあるので、一概に正解を出すことはできません。

  • 納得して維持しやすい環境:自分たちが納得し、維持しやすい環境が最も効果的でよいでしょう。習慣化することが目的ですから。

まとめ

分類は効率だけでなく、使いやすさや美的な側面も重視するべき領域です。自分たちのライフスタイルや業務の内容に合わせて、最適な分類法をデザインしましょう。そこに楽しさも感じることができるでしょうね。


第8章:維持の戦略 - 効果を持続させるための考え方

ここまで来れば、あとは維持するだけです。維持するための仕組みは意外とシンプルかもしれません。実行力があり、生産性を意識してこれまでのプロセスを進めた方々にとって、維持はさほど難しい課題ではないと考えます。

  1. 効果を図る
    整理整頓を行った後に、効果を測ってみましょう。それが皆様の成果です。必ず大きな効果を得ているはずです。自信をもって横展開していけるように効果を体感してください。これが習慣化」の鍵です。

  2. 最後の仕分けと表示
    デザインと表示の工夫:最後の仕分けのデザインや表示を工夫して使いやすくすることで、元の状態に戻りにくいようにしましょう。これは、今後の維持を容易にしますし、何より自信につながります。

  3. 共有しているものの整理
    みんなで共有しているものの整理には注意が必要です。ここが乱れると全体の秩序が崩れることもあるでしょう。
    これらの管理については、また別の記事に記します。

  4. 自分の管理
    自分が使っている場所であれば、こちらの読者の方々なら難しくないと思います。より使いやすくすることを意識してみてください。
    それが清掃であり、躾への唯一の道です。

まとめ

維持は楽しんで実施するプロジェクトの最終段階です。最初の努力と工夫を台無しにしないよう、シンプルだけれど効果的な戦略を立てましょう。実行力と意識があれば、維持することはそれほど難しいことではないはずです。きっとすぐに効果を感じることができるでしょう。

最後に

5S活動と仏教の哲学は、一見異なるもののように見えるかもしれません。しかし、この記事を通して、その深い関連性と、効率化と生産性の向上への共同の道を探求してきました。最も重要なのは、これらの原則を日常生活に習慣化することです。

仏教の知足の教えは、私たちが何を本当に必要としているのか、何に感謝すべきなのかを教えてくれます。この感覚は、5S活動の各段階において、効率化と生産性の新しいレベルへの道を開いています。

習慣化は、単なる一度きりの行動ではありません。それは持続的な努力と、自己の成長への積極的な取り組みを必要とします。5S活動と仏教の哲学は、この道の助けとなる道具と指南書であり、私たちが自己を高め、より豊かで効率的な人生を築く手助けとなります。

最後に、この結びつきが単なる理論で終わらせないために、実際にこれらの教えを生活の中で実践し、習慣化することの重要性を強調したいと思います。それは、私たちの生活を変え、心の平和と満足感を増す強力な力となるでしょう。

心と生活の効率化と習慣化への旅立ちを祝い、共にこの新しい章を開くことを楽しみにしています。

ここまで読んでくださり、心より感謝申し上げます。よかったらスキとフォローお願いします。

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