能率と効率を切り分ければ生産性の道は開かれる。
はじめに
効率と能率、これらの言葉は仕事でも日常でもよく使われますが、意味が似ているために混同されがちです。本記事では、これらの違いを明確にし、改善の場面での適切なアプローチ具体例を交えて詳しく説明します。
効果的改善のご支援になれば幸いです。
効率と能率の違いは?
効率とは
定義
効率とは、手間やコストに対する成果の割合を指します。手をかけた量に対してどれだけの成果が出るか、というのがポイントです。
具体例
たとえば、同じ時間を使って釣りをした場合、より多くの魚を釣る人が高効率です。また、一定の予算でより多くの製品を作る工場も高効率と言えます。
効率を上げる方法
効率を上げるためには、時間の管理、資源の最適化、環境の整備などが重要です。例えば、作業工程を見直して無駄を削減したり、必要な道具をすぐに取れるように整理することで、効率は向上します。環境を良くすると言う事です。
能率とは
定義
能率とは、目標に対してどれだけ結果を出せたかを指します。目標達成のためにどれだけ効果的な行動ができたかがポイントです。
具体例
販売目標を設定して、それを達成できた場合、その能率は高いと言えます。また、勉強で目標の点数を取ることができたら、その能率も高いです。
能率を上げる方法
能率を高めるためには、目標設定の明確化や、目標に対する計画の練り直しが必要です。自分が何を達成したいのか明確にし、そのために何をすべきかを計画しましょう。
効率と能率の判断
目的に応じた選び方
効率は環境を良くすることや、資源の最適化が目的です。
能率は目標達成や、出来栄えを良くする事が目的です。
短期・長期での選び方
効率は短期的な成果によく作用します
能率は長期的な成功に繋がります。
資源の制限と余裕
効率は特に資源が限られている場合に役立ちます。
能率は資源に余裕がある場面での目標達成に重要です。
事例1: 効率が悪いケース
仕事でレポートを書く際、各項目ごとに完璧を求めて何度も書き直しをしてしまい、結局1日がかりで1つのレポートしか完成しない。
これは効率が悪い例です。
なぜなら、時間をかけすぎて出力(完成レポート数)が少ないからです。
対策
一度全体のアウトラインをしっかりと作成し、各セクションにどれくらいの時間を割り当てるか事前に決める。そして、時間になったら一旦筆を置くようにする。
事例2: 能率が悪いケース
独学で英語を勉強して、ひたすら単語だけを覚えている。結局、文章を読む力や会話能力は向上していない。
これは能率が悪い例です。
なぜなら、行った努力(単語を覚える)と目的(英語力全般を向上させる)が合致していないからです。
対策
目的に合わせた効果的な勉強法を選ぶ。例えば、会話が目的ならスピーキングの練習を、文章を理解する力を高めたいなら読解の練習をする。
以上が効率と能率の差です。
目の前にあるトラブルやストレスはどちらが原因かを見極める事で、より効果的な対策を打てると思います。
効率化が進んでも生産性が上がらない理由
誤った効率化:
効率化が進んで作業が楽になったとしても、その時間で新たな価値を生む作業に振り分けられていなければ生産性は実質上がっていません。単に楽になるだけで終わってしまいます。楽に対する執着:
作業が楽になると、人々はその余裕を生産性向上に使わず、単に楽をしてしまう傾向があります。これは心理学的にも説明される現象で、結局、生産性は上がりません。重要なタスクへのシフトがない:
作業が楽になった後、その時間をより価値のある仕事に振り分けなければ生産性は上がりません。例えば、管理者が報告書作成の時間が減ったとして、その時間を新たなプロジェクトや人材育成に使わなければ、組織全体の生産性は向上しません。
重要度と緊急度のマトリクスと言う考え方があります。緊急ではないけど重要な仕事を以下に取り込めるかがポイントです。
生産性を高めるための対策
時間の再分配: 効率化で得られた時間を、より高い価値の仕事に割り当てる。
目標の再設定: 効率化が目標達成にどれだけ貢献しているのかを定量的に把握し、必要なら目標をより高く調整する。(評価や賃金と目標が関わっている場合は目標の再設定は問題になるケースがあるので注意が必要です)
継続的な見直しと改善: 効率化が進んだ後も、状況に応じてプロセスを見直し、改善を続ける。
能率と効率の対策の違い
状況: 部下が常に忙しそうにしているが、成果が出ない
能率に対するアプローチ
部下が何に時間を使っているのか、という点に焦点を当てる必要があります。
タスクと時間の追跡: 部下に一週間の仕事内容とそれにかかった時間を報告してもらいましょう。日報、週報からもかくにんできますね。
日報と週報については下記の記事で解説しています。優先順位の再設定: 追跡したデータを基に、どのタスクが本当に重要なのかを共に考え、優先順位を明確にします。
優先順位の付け方も以下にリンクを貼りますのでよかったらご覧ください。継続的なフィードバック: 優先順位が明確になったら、定期的に状況を確認し、必要な調整を行います。
効率に対するアプローチ
部下が行っている仕事の方法が非効率的である可能性が高い場合
作業プロセスの見直し: 部下の作業プロセスを共に見直し、煩雑な手順や無駄を削減します。
ECRS(イクルス)の原則と言うシンプルなフレームワークがおすすめです。近いうちに解説いたします。効率化ツールの導入: 作業にかかる時間を短縮できるようなツールやテンプレートを導入することを検討します。
継続的な改善: ツールの導入やプロセスの改善が効果を上げたかを評価し、さらなる改善の余地がないかを探します。
部下の効率と能率、この二つの観点から問題を分析し、適切なアプローチを選ぶことが重要です。効果的な指導には、どのような問題が存在するのかを明確にすることが第一歩ですね。
まとめ
効率と能率は似たような概念でしたが、考察すると、いろいろな違いがありました。
的確なアプローチをすることで、少しでも皆様の生活やお仕事がより豊かなものになることを願っております。
これらの改善をするのに役立つフレームワークはたくさんあります。この場で全てを申し上げると時間がいくらあっても足りませんので、いつか解説させていただきます。
この記事がお役に立てれば幸いです。
もしよろしかったらフォローとスキよろしくお願いいたします。最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?