何者

読んだ本の感想をnoteに書いてみませんか?

noteを入力する前に薄い文字で、こうやって表示されるので先々週読んだ朝井リョウさんの小説で映画化もされた「何者」の感想を書いてみる。

個人的な話ではあるが2年前は就活をしていた。
今よりも随分と就職が容易な社会情勢であったと、夏から度々飛び込んでくる新卒採用中止のニュースを見てひしひしと感じる。

この小説は5人が主人公であり、もちろん拓人が主人公であるが、一人ひとりの葛藤を切り取るのではなくそれぞれの葛藤を一緒くたにしても感想を述べても良いと思う。

就活というステージに上がった時、今までに以上にお互いがよく見えていたし、そのステージを通過した先に何を見ているかも知る。今まで見てこなかった、あるいは見えることの無かった人間性が光を当てた能面のようにはっきり輪郭をあらわにして見えてくる。

6章までは5人が何をしているか、どういうコミュニケーションを友人に対してとるか、1年分のTwitterをさかのぼれば見えてくるような表向きの特徴で描かれる。7章以降は就活の進み具合の違いで友人関係に歪みが生じて人のコアな部分が見え隠れする。

最後の拓人と理香の掛け合いは瑞月から隆良への言葉と違ってあまりにも重くて引き込まれた。7章あたりからずっと引き込まれていたものの、最初の拓人の言葉に疑問を感じ、最後の最後までその違和感が彼らの就活を自分自身が体験してきた就活と違うものに見せて仕方なかった。

「就活はトランプでいうダウトみたいなもの。留学、海外インターン、TOEIC、学際実行委員会、いくら強いカードをたくさん持っていたって、面接で差し出すカードは裏返し。いくらだって嘘はつける。留学組のあのふたりはそういう方法を知らないまま、貧乏くじを引いてしまいそうな気がする。」現実の就活はここまでねじ曲がっていない。就活をこんな風にとらえていれば、出るものも出ない。理香の最後の言葉のままだと思う。
強いカードは強い。強いからこそそのカードが嘘偽りのない本物だって伝えることが大事。例えそのカードが強くなくても輝いているって本気で伝えないと。1度は嘘をつけたとしても何度も嘘つけるものではない。嘘偽りで面接を受けていたのであれば内定が出なくても当然の結果である。

光太郎-主人公、拓人-未熟、瑞月-責任、理香-虚勢、隆良-飾り

映画が見たい。緊迫した会話ー拓人と瑞月の電車内、瑞月から隆良への言葉、理香と拓人の醜い部分の晒し合いーどんな風に表現されているのか気になります。

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