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昔の彼女、今の輝き

名古屋で昔の彼女に会った。

名古屋は2013-15年、新卒でお世話になった街だ。

僕は名古屋が大好きだ。街は整然と碁盤の目のように整理されていて、すっきりと、住みやすい。そして、最初に勤めた商社の方々は、皆、自分の生き方を持っていてカッコいい。別に有名な商社じゃないし、目立って新しいことにチャレンジしている会社でもない。でも、そこでかかわらせてもらった人たちは皆、自分なりの考えを持っていて、自分の人生を楽しんでいるように感じられた。そして、僕も自分なりの目標を持って、自由奔放に過ごさせてもらったと思う。そんな新入社員時代があったので、名古屋に対しては、いくだけでなんだか暖かく向かい入れてくれるような、第二の故郷のような感じがある。

久々に降り立つと、12月にもかかわらず、暖かい日差しを感じ、ほっこりした気持ちになった。

今回は、友人の結婚式があったので、行ったのだが、行ったついでに、と思って、昔の彼女に思いきって連絡してみた。

最終日の夜に会えることになった。

彼女との出会いは元々、某スナックだった。大人っぽい身なりで、身のこなしや、言葉遣いが丁寧で、優雅さを感じさせるような、綺麗な女性だった。日中は普通の会社に勤めていて、夜はたまに、つきあいで、スナックをサポートしていた。そのスナックでも人気者だったし、お酒も強く、毎晩飲みに行ってもけろっとしているような、タフな体力も持っていた。モテるタイプの子だったと思う。紆余曲折あって、彼女と付き合うことになった。

当時の僕は正直言えば、何も見えてなかった。当時、僕は留学や、海外駐在をしたくて、英語の学習に没頭していた。だから、付き合ってからも、そこまで何度も会っていない気がする。よく家にきてくれていたが、夜は勉強、朝も勉強で、一緒にいる時間を大切にはできていなかった。夜、飲みに行ったりはしたが、「勉強しないと」と言う思いもあり、なんだか、本当に一緒にいられた感じがしなかった。

だから、当然だけれども、別れを切り出され、別れることになった。

・・・・

6年ぶりの再会だった。彼女は相変わらず綺麗で、身のこなしにしなやかさがあった。仕事も人一倍頑張って、様々なところで自分なりの結果を残しているとのことだった。

左の薬指を見ると、指輪が。

「結婚したの?」と聞くと、

「今のところ予定はないよ。」

とのこと。

「どんな人と付き合っているの」

と聞くと、

「ずっと鬱だった人。」

と答えた。

「彼、バツイチなんだけど、結構病んでた時期も長くて、すっごい痩せているの。」

彼女の美しさや、人となりを見れば、「もっといい人」と付き合えるようなタイプの子だ。

「なんでその人と付き合っているの?」と聞くと、

「私、病んでる人が好きなのよ。自分がいないとダメな人をサポートしてあげたいの。」

そして、さらに、

「人生に意味なんてないじゃない。私、すっごく元気なタイプだから、その元気を少しでも周りの人に分けてあげて、幸せになってくれたらな、って思うの。」

「彼の状態もよくなってきたし、この間、ワンちゃんも買って、幸せよ。」


・・・・・・


出会ってから、6年以上経って、初めて、彼女の本当の強さ、優しさ、そして美しさに触れた気がした。


6年前の僕は、どれだけ無頓着だったんだろうか。


そして、どんな人生になるかわからないパートナーを見つけて、一緒に暮らしている彼女の話を聞くと、自然と心が洗われるような感じがした。何を思っているんだろう、どう感じているんだろう? 

食事の最後に、お土産を渡すと

「ありがとう」と言って、帰って行った。


歩いて、遠ざかっていく背中は、優雅なままだった。


さぁ、僕も僕の人生を生きよう。



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(筆者)山本隆裕  Youth & Co. 代表
ウィスコンシン 大学 マディソン校 教育学修士
E: t.yamamoto@youthco.llc
FB: https://www.facebook.com/takahiro.yamamoto.357
SPRINT: https://sprint-ync.online/


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